第4話 希望の光?
目が覚めると、ベッドの上に居た。
頭がズキズキする。
起き上がろうとすると、
「急に起きない方が良いよ。せんせーい!」
と女の子の大きな声がした。パタパタと先生が僕のベッドの方にやって来た。
「あ、タチバナ君起きた?どう?頭痛い?」
先生の顔が僕の目の前に、どアップで映し出された。
「す……少し痛いです。」
あと先生近すぎです、と心の中で思った。
「もう少し安静にしておこうか?一応、病院に行って診て貰ってね。」
先生は僕にそう言って、離れた。そして、
「ケヤキさんも、タチバナ君に謝ってから帰るのよ。」
と付け足した。ケヤキと名前を呼ばれた女の子は、はーいと元気よく声をあげてそれに応えていた。
「ごめんねえータチバナ君。あそこに人が居るとは思わなくて。」
へへへと悪びれもせずに謝られた。明るい人なんだなと僕は思った。
「いや……というか、君はあそこで何してたの?」
「木に登ってた。」
まさかの回答に、僕は面喰った。
「……え?なんで木?」
そう返すと、
「気持ちよさそうだったから。」
との返事。
あれ?会話が成立していない気がするぞ????
と僕は苦笑いをしそうになった。
よくよく彼女の話を聞いていると、猫が登っているのを見て、気持ちよさそうだと思い自分も試したところ、まさかの枝がしなり落ちたということだった。
「まるで重いって抗議を受けた気分だよ。失礼だよねー?木って。」
と見当違いの怒りを聞いた。そういう問題か?
「ケヤキさんは、ケガなかった?」
とりあえずそう聞くと、
「うん、タチバナ君のおかげで、どうにかね。ありがとう、そしてごめんなさい。」
と彼女は頭を下げた。
「いや、まあ……女の子に傷がつかなくて良かったよ。」
そう言うと、
「お!タチバナ君は男の中の男だねえ。というかキザだねえ。」
と茶化された。……この反応ってどう答えたらいいわけ?と頭の中で葛藤していると、
「笑ってよー!そうしないと私、滑った感じするじゃん。もーノリが悪いなあ、タチバナ君は。」
と怒られた。いやいやいや……そうなるの?ここ。
「それはごめん、ケヤキさん。」
そう謝ると、
「いや、謝られるのも逆に困るんだけどねえ。」
と彼女も困った風に頬をポリポリと掻いた。
「良かったらタチバナ君の家まで送るから。」
そう言われて、僕はその日ケヤキさんと一緒に帰ることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます