ボーカロイド曲の歴史・混沌期
アリエ:
2009年10月、ボーカロイド界隈の現状を語ったあるツイートが局地的に流行します。
「今?いまはあれだよ、混沌期だよ混沌期。そうそうカオスカオス。まあ俺はそのカオスを楽しんでるだけどね今は」
まりあ:
どういうことなんですか?
アリエ:
ぶっちゃけここからは何も分かりません。ファミレスで行われていた雑談らしいので、発言者も深くは考えてなかったんでしょう。きっと。
このその場で終わるはずだった発言をツイッターに流出させたwowaka氏は、この時代を代表するボカロPの一人です。
彼の初期の代表作“裏表ラバーズ”をどうぞ。
まりあ:
速いです。無理ぃ。
アリエ:
……そうでしたね。忘れてました。
何はともあれ、この時期はwowaka氏とDECO*27氏とハチ氏の三強の時代です。三人とも作風が違っていて面白いですよ。
wowaka氏は実にボーカロイド的と言いますか、モノクロの簡素な図形が描かれた一枚絵の動画で、無機質な声がまくしたてるように歌っているのが特徴です。受け付けない人にはとことん無理かもしれません。
まりあ:
私は無理かなぁ……
アリエ:
それならば男女のもだもだした恋愛を描くことに定評のあるDECO*27氏の作品をどうぞ。こちらは“弱虫モンブラン”です。
動画もアニメーションでぬるぬる動くのが対照的ですね。
まりあ:
さっきのを聴いたせいかとてもゆったりに聞こえますね。ラブソングはラブソングでも失恋ソングですか。
……聞いたことのない声ですね?
アリエ:
あ、MegpoidことGUMIの曲はこれが初めてでしたっけ。前回もちょっとだけ触れたんですが、現在では初音ミクに次ぐ人気を持つライブラリです。
最後はハチ氏ですね。
この人は非常に独特な世界観をお持ちなので、とりあえず聴いてみてください。“マトリョシカ”です。
まりあ:
なんですかこれ?
アリエ:
頭を空っぽにして感じてください。
このいかにも手書きの絵がまた独特ですよね。まあ、曲によってはぬるぬる動くアニメーションもあるんですけど。
まりあ:
癖が凄いぃ。
アリエ:
このハチ氏は一番出世したボカロPと言っても良いと思います。現在では米津玄師と名前を変えて自分で歌った楽曲を発表していますが、それで日本レコード大賞優秀アルバム賞を獲得していますしね。最優秀がサザン、他の優秀賞がTUBEやセカオワと言えばどれだけのことなのかは分かっていただけると思います。
まりあ:
そんなに有名な人だったんですか。
アリエ:
この頃はまだ動画サイトの一投稿者ですけどね。
この頃になってくるとボーカロイドキャラクターだけではなくボカロPへの注目も高くなってきてます。
それが良かったことなのかは未だ議論のネタになったりするんですが、ボーカロイドを深く知ろうと思うきっかけになるなら有りだと思うんです。
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