第2話

蒸し暑い教室に肉声にも似たオーボエの音が響く。窓の外には目が痛いくらいの青い青い空が広がっていた。

汗で制服が肌にくっつき気持ちが悪い。


「…あ、暑い」


耐えきれなくなりフラフラと涼を求め廊下に出た。廊下は日陰になっていて涼しい。体から熱が引いていくのを感じた。窓に寄りかかって目を閉じた。ミンミンと五月蝿い蝉の声と風に揺れ木の葉が擦れる音がよく聞こえた。


こんな夏だった、


ふとそんなことを思った。未練たらしいな、と惨めに思った。そんな思いを散らすように頭を振り、時間も時間なので楽器の片付けに蒸し暑い教室に戻った。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る