24-2 : 牢破り
「!?
鎖に拘束された囚人の動ける範囲は、半径で1歩分もない。気の遠くなるような忍耐を重ね、
両手と両足に
「こ、この……っ!」
慌てた
「
シェルミアの舌足らずな声がして、ブツリと肉の切れる音がした。
「いっ、
再びの痛みに、
「な、何でこんなもん持ってんだ、おめぇ!?」
「
歯を剥き出しにして
状況に頭が着いていかず混乱している
「え? え……? さ、皿を
長い時間をかけてデコボコに
「
「
歯を食い縛ったままのシェルミアが、間近から
「あっ、あっ……!」
醜い顔を引き
「……
「ひっ……ひいぃぃっ!!」
痛みと恐怖に耐えきれなくなった
まず、左腕の
「っ……他も……っ、外しなさい……!」
表情を凍り付かせた
「そ、そんなことしたら……! オ、オイラ、怒られっちまうよぉ……!」
焼きごてに魔導器の光が宿り、次いでジリジリと鉄の
「このまま目を
「ひぃぃっ! ひいぃぃいいぃぃっ!!!」
「1つ……! 2つ……! 3つ……!――」
「ぎゃあぁぁあぁぁ! やだあぁぁああぁぁ!! いやだあぁぁ゛ぁああ゛ぁあ゛ぁあっ!!!」
「っ……はぁっ……はぁっ……!」
四肢の自由を取り戻したシェルミアが、ずっと押し殺していた息を吐き出し、
シェルミアの力の抜けた左手から、焼きごてがカランと音を立てて落下し、それが押し倒されている
「ひっ……! あ、
「どうなっていますか……!」
「……え?……え……?」
シェルミアの迫力に完全に
「あれから、どうなりましたか……!? 今、何が起きているのですか?!」
表情を
「あっ、あっ……! わ、分かんねぇよ。オイラ、難しいこと分かんねえんだよ……! 何日か前に、数え切れねぇ兵隊が街の外に出てった……! ほ、“ほうふく”だとか、“かいほう”だとか、“くちく”だとか誰かが言ってたけどよぉ、オイラはただ仕事してりゃいいって……!」
「馬鹿な……っ!」
「父上……兄上……! 何を、何を考えて……っ!」
ふらりと立ち上がったシェルミアが、おぼつかない足取りで独房の出入り口へ向かって歩き出す。
「そんなことをして…… 一体、何になるというのですか……!」
傷つき疲弊した身体を引きずり、地上に向かって歩き出したシェルミアの背後に、ぬっと醜い影がよぎった。
「キ、キヒ……!」
冷えた焼きごてを両手で
……。
……。
……。
――ガシャリ。
シェルミアは背中を振り返ることもせず、ただ悲しそうな表情を浮かべ、後ろ手に独房の格子扉を閉めた。
「あっ……え……え……?!」
「……あなたは、もっと……人の痛みを、知りなさい……!」
そしてガチャリと、地下牢の鍵が閉ざされる冷たい音がして、
「ま、待って……! オイラを、お、置いてかないで――」
ペタリ、ペタリとシェルミアが
「――ひいぃっ……
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