ステージ&コンテスト

 数回の打ち合わせなどを挟みながら、イベント当日がやってきた。

 ライブなどのステージは夜だけど、リハーサルなどもあって昼からは、ずっとそんな感じよ。


「彩花大丈夫?」

「あたしは大丈夫かな」


 休憩時間にスマホを確認すると、何故か桂から「頑張れ。火狩と一緒にどっかの席にいっから」などという謎のメールが入っていたりもした。


「ぐぬっ……」

「それよりも大丈夫なのか心配なのか、あっちだよね。リハはなんか、タイミングもあって見れてないけど」


 そういって、楽屋の廊下にいた数人のほうを見る。

 そこにはガッチガチになった同じ学園の生徒がいる。新人オーディションの参加メンバーの誰かとは思うけど、ほんとうに心配になるわね。


「大丈夫かな」

「まあ、なるようになれでしょ。むしろ、彩花の肝の強さに驚くわよ」

「春香だって、わりと落ち着いてるのに、それ言う?」

「私はガチガチよ。心臓はバクバクよ」


 緊張していると時間は遅く感じる。だけど、時間は過ぎていく。

 そして、本番直前に差し迫った。

 舞台袖から見ると、席は超満員で埋まりきっている。素人の初ライブにこのステージっておかしくないかしら。

 ライブハウスでいいから、そっちでライブしてからのほうが絶対良かったと思うのよ。

 私の出番は歌ってみたと演奏してみたの一部と選抜参加でなぜか選ばれていたオープニングとエンディングになるわ。

 彩花は踊ってみたとオープニングとエンディングで序盤はかぶることも多い。


「それじゃ、頑張っていきましょう。笑顔を作るネットコンテンツ!」

「「「スマーイル!!」」」


 いつの間にか出来上がっていた、謎の掛け声の後にオープニングが始まった。


 オープニング。合唱的なパフォーマンスと、会場の盛り上げパフォーマンスで幕が閉じて、一旦後ろに下がった。

 やばい。思った以上に緊張して体力が消耗したのに、テンションも上がってハイになってる私もいる。

 自分が知らない以上に目立ちたがりやだったりするのかしら?


「春香、おつかれ」

「彩花もおつかれ。このまま次も?」

「そゆこと、いってくる!」

「がんばりなさい」


 オープニング後は踊ってみたの第一幕の後に歌ってみたの第一幕。そして新人オーディションを挟んで、歌ってみたと踊ってみたのコラボに演奏とスペシャルゲストでエンディングという流れになる。


 流れは順調だった。アドレナリンで疲れも気にならなくなって、それだけ心配だけど歌ってみたも無事に終わることができて、私は一旦舞台裏へとはけた。

 そこには新人オーディションメンバーがスタンバイもしている。

 もちろん水花の姿もある。

 ステージのほうは今はまだMCトーク中のようだし、軽く後ろから肩を叩いてみた。


「っ!?」

「固くなりすぎよ」

「は、春香!? なんで、ここに」

「リハの時からずっといたわよ。ガッチガチじゃない」

「えっ? えっ!?」


 もしかして、水花は本当に私のこと気づいてなかった感じかしら。


「春香はすごいですね。あのステージで」

「水花もそこに今からいくのよ」

「そ、そうですけど。あんな風に、みなさんのようには」

「意外とどうにかなるわよ。それにやっと掴んだチャンスなんでしょ……ちゃんと、掴んでみないと、私が入学試験まで一緒にいったことまで無駄になりかねないわ!」

「そ、それは、ちょっと違う気がしますけど」

「ふふっ、水花なら大丈夫よ」

「は、はい……!」

『さぁ、それでは次はなんとなんとぉ――』


 軽快なMCとともに、オーディションがステージで始まる。

 あとは水花次第よね。

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