第2章 イベントと夢の物語
周囲の変化
夢を見た。
この前に見た、奏と呼ばれてる子の夢だった。
『はじめまして。同じクラスね。アタシは
そう言われて話しかけられた、赤髪の女子は少し驚きながら答えた。
『私は赤坂春香よ』
『赤坂サカス?』
『そのネタ使われるの嫌なのよね~』
『笑顔がこわいよ! ごめんね。春香……つまりはるってことね!』
『……まあ、それなら構わないわよ』
『よろしくね』
『よろしく』
そう言って、ぎこちなく握手する。というか、なんで私が奏って子と一緒に?
それに着てる制服は公立の制服よね。
夢だからか場面は変わる。
『まだゴールが見えないのかしら……はぁ……はぁ』
『いやー、遠いね遠いね』
『お前ら、大丈夫か』
『あんたかなり前、走ってなかった?』
『飽きた』
マラソン大会かしら。私が息を乱しながら奏と桂が走ってる。
……なんだかとても楽しそうで、普通にこういう未来もあったんじゃないかって思ってしまう――そこで私の目が覚めた。
「……また、へんな夢みたわね」
季節は初夏に差し掛かっていた。
***
夏服に衣替えして、それなりに涼しくはなったけど、そもそもの気温が暑いからなんともいえない1日。
今日も日差しの下、学校へと向かって登校する。
「おは~」
「おはよう、彩花……」
「今日も暑いね」
「本当にね……アイドル科のレッスンルームは冷房完備みたいよ」
「そうらしいね。ずるいな~」
春から夏にかけて、私は動画をあの後もいくつか投稿していた。
反応は悪くない。もちろんアンチだって、それなりにきちゃってるけど。
「そういえば、来月末のイベントいく?」
「来月って夏休みになんかあったかしら?」
「まあ、一応、科の移動考えてる子たちに対して実技補講とかはあるけど、そういうんじゃなくて。動画サイトの大々的イベントあるじゃん」
「そういえば、来月末だったっけ……どうしよう。夏休みだから行くことは別に構わないのよね」
「うんうん。だけど、人混みとかがね。若干、生放送で満足といえば満足かもしれないっていうね」
「そうなのよね。生で歌い手とか踊り手を見ることに対してはそこまで執着心とかわかないのよね」
「そうそう……あぁ~、やっと学校ついたー!」
話しているうちに今日も無事に学校に辿りつけたようね。今日も授業を私はちゃんと受けるわ――。
「春香!」
「水花? こっちまでくるなんて珍しいわね」
「見てください!」
昼休みに廊下にいると珍しく普通科まで水花がきた。そして、目を輝かせて一枚のチケットを渡してくる。
「えっと《流れ星コンテスト》?」
「そうです! 星創主催の夏の新人発掘オーディションです!」
「へ~……でも、こういうのって選抜した人が出場とかするんじゃないの?」
「はい! それで、私も出場できることになりました!」
「……えぇっ!?」
「春香を驚かせたくて、一番に言いに来ました。それで、その日程があえば見に来てください。一般公開はないですが、関係者は招待できるらしいので」
「もちろん! 見に行くわよ!」
まだ入学していうほど時間はたってないのに、チャンスを手にするなんて水花すごいわね。
私なんてネットでぬくぬくしてるっていうのに……これだけだと、私すごい駄目人間みたいに聞こえるわね。
「応援しててください!」
水花はそう言うと、小さくスキップで戻っていった。一緒にお昼ごはんぐらい食べてもよかったのに。
「あ、バナナオレ買ってきたよ~。ってどうしたの、春香?」
「いや、ちょっとアイドル科の友達がきててね」
「水花ちゃんだっけ?」
「そうそう」
お昼ごはんはそんな話題で彩花と盛り上がりながら過ぎていった。
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