3//9 私の子供

わたしは彼を抱きしめていた。


いつもの布団の上で、大好きな彼。


あぁ、なんてしあわせな時間だろう。と、胸に顔を埋めながら、


いつもの匂いを嗅いで幸せに浸る。


そうしていると、姉から子供が出来たと連絡がきた。


姉の子供は3人いる。男、男、女。


わたしの甥っ子、姪っ子。


幸せそうに子供を抱く姉を見て、


わたしにだって子供いるし!


と、自分の子供を手のひらに乗せる。


綺麗な緑の天然石。わたしの子供。


なぜ姉の子供は人間なのに、わたしの子供は天然石なのだろう?


撫でても、摩っても、冷たい石。


子供嫌いの彼は、泣かない子供に嬉しそうに笑う。


あなたは嬉しいかもしれないけど、わたしはなんだか腑に落ちないわ。


そう言いながら、わたしの子供を撫でる。


今日もいつもの時間に目覚ましが鳴る。


わたしは、わたしの子供のことを時間と共に忘れてしまう。

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夢日記 @nachism

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