7/28 城と死と
わたしは、壁を見ていた。
土で作られた、白い壁。
長い、木の廊下。
どうやらここは城らしい。
この夢はよくみる。
だから、あぁまたこの夢か。と気がつく。
わたしは明晰夢をよくみる。
夢の中で、これは夢だ。と、わかるのから
その後は自分の好きなようにする。
と言いたいところだけれど、実際はそうもいかなくて
この城の夢は、後に鬼が出てくることを知っている。
廊下を壊しながら、わたしを追いかけてくるのだ。
夢の中が揺れる。
ほらきた。
赤い、黒い鬼が、わたしの睨みつける。
わたしは、これは夢だとわかっているし、
殺されることも知っているので、逃げることは諦めた。
大きく振り下ろされる金棒。
避けることはしないので、そのまま頭に落ちてくる。
そこからは真っ暗で、城も、鬼も、何もなくなる。
ああ、わたし死ねたんだな。
嬉しくて、目を閉じて、ふふっと笑う。
今日もいつもの時間に目覚ましが鳴る。
わたしは、自分が死んだことを時間と共に忘れてしまう。
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