7/25 夜の音

わたしは、自宅から道路を見ていた。


片側二車線の、少し広めの交通量の多い道路。


残念ながら、わたしの部屋のベランダはとても狭く、


くつろげるような場所はない。


夢の中で、3時になる。


時計を見たわけでもないけれど、確かに3時。


真っ暗で、近隣の住宅の電気は消えている。


数分に一台くらいの間隔で、車が通る。


乗用車も、トラックも、タクシーも。


きた。


遠くからバイクのマフラーの音が聞こえる。


下手糞で、下品な、うるさいだけの、音。


わたし自身、バイクを乗るのでそれなりのこだわりはあるが


これはいくらなんでもひどい。


どんなやつか顔を見てやろう。


そう思っていたのか、ただ涼んでいたのかはわからないけれど、


わたしは自宅から道路を見ていた。


近付くバイクの音。


耳障り。


不愉快。


さぁ、どんな顔をしているんだお前は。


こんな音を鳴らして、


どんな顔をしているんだ。


音だけが近づき、バイクのライトは見えない。


ただただ爆音だけが響き、わたしの耳が悲鳴をあげる。


勘弁してくれ。


気がつくと、音が遠のき、バイクの姿は見えないまま。


わたしは、え?っとあたりを見回し、バイクを探す。


だけれど、音だけ。姿は、ない。


結局、何も見れないまま、耳が不愉快になっただけで、


なにひとつ、得られるものはなかった。


なんだ。つまらない。


そう呟きながら、わたしはまた、自宅から道路を眺める。



今日もいつもの時間に目覚ましが鳴る。


わたしは、不愉快なバイクの音を時間と共に忘れてしまう。

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