夢日記

@nachism

7/24 飛び降りた人

わたしは、下を見ていた。


ゆっくりと、コンクリートに向かって落ちていく人。


無表情で、目があっているのだけれど


そこに感情は何もない。


ところでこれは誰だろう。


全然記憶にない、知らない男性。


細く、痩せこけた頬に、七三のグレーがかった髪。


夏だというのにベージュのニットのベストを着て、


風に吹かれたら折れそうな腕を、わたしに伸ばしながら落ちてゆく。


ひらり、ひらり。


ゆっくりと、コンクリートに向かって。


鈍い音も、何もないままコンクリートに到達した彼は、


目を開いたまま、相も変わらず無表情で、わたしから目をそらさない。


わたしも特にそらす理由がないから、彼から目をそらさない。


コンクリートに広がる血液。


ゆっくりと、じわりじわりと広がる赤い水たまりは、


彼の頭部から、溢れてくる。


彼は何を思って飛び降りたのだろう。


わたしは、ぼんやりと考えながら彼を眺めていた。


彼も、ぼんやりとした目でわたしを眺めていた。



今日もいつもの時間に目覚ましが鳴る。


わたしは、飛び降りた彼のことを時間と共に忘れてしまう。

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