無意識な罪状
殺した
殺した殺した殺した殺した
殺した殺した殺した殺した殺した
殺した
殺したのだ
今、今、たった今
たった今、人を、人命を、殺した
奪った
わかる
いやわからない
何が
わかるが、わからない
わからないがわかる
わかるない?
殺した相手の過去など、わからない
どんな人物だったか、どのような人生だったか
ましてや本質、魂など、知る由もない
サラリーマンか、医者か、警官か、弁護士か、無職か
女か男か若者か老人か
配偶者がいて、子供がいて、家庭を持って幸せに生きているとしたら
それを、それを奪ったことになる
それを
自分が手を汚したのはわかる
わかってしまっている
殴った痛みが、殴られた痛みが、
叩き付けた止めの一撃、その、感触
腕に伝わる、命を打ち砕いた感触
そして、そして弾け飛ぶ命と死体
ああそうだった
死体を隠す必要はない
なにせもう消滅したのだから
吹っ飛んだ
よくできている
全く完璧なシステム
殺しても、全自動で死体自身が死体処理してくれる
その結果があの爆発
瞬く間に、この世から殺人鬼が捕まる要素を消してくれた
しかし殺した事実は変わらない
ああ殺した
死なせた
向こうから殴り掛かってきたから
反撃して、またやられないうちにこっちから出向いて攻撃して
結果
結果
必死だった
生きるのに
死から逃げて、生を求めた
求めたのだ
求めた?いや違う
違う
押し付けた
押し付けたのだ死を
相手に
襲い掛かってきた自分と同じ人間に、自分は死にたくないので死を押し付けてぶっ殺した
正当防衛か
バカな
最初は向こうからやってきた
二回目はこっちが死なせに行った
本気の、本気で
裁判なら完全敗北間違いなし
最高裁の手を煩わせることなく、有罪判決
違う違う
何が異形同士の大バトルか
結局は殺し合い
なんの言い訳も利かない
畜生な行為だ
畜生は生活がかかっているので、今回のは畜生以下だ
そうだなんの理由もなく、なんの感慨もなく、命を、この手で
奪ってみせた
違う違う違う
何が違う?
事実は事実
今、禁忌と思っていた行為を
何の疑いもなく、変化する肉体を隠れ蓑に、
免罪符にすらしないで、やってのけた
殺って、のけた
あまりにも、どうしようもなく、狂っている
なんで疑問を持たなかった
なんでゲーム感覚でいられた
なんで容赦しなかった
なんで人間扱いしなかった
なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんで
なんで 殺 し た ?
「アアアアァアアアァァア"ア"ア"ッ!!」
膝まずいて、頭を抱え、清仁は叫びをあげた
悲鳴とすら言える
許しを欲したのか
もしくはこの感覚を振り払いたかったか
同じ人間をちゃっちゃと殺めてしまったと自覚する
そうしたら、吐瀉物が出るのを押さえられなかった
頭痛がした
罪の意識 そんなものはない
ただ、汚らわしかった
己の行為と、その、異形らしさが
どうしようもなく汚れきって感じた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます