【神格名鑑】(人類側神格)
"フォルネウス"
レメゲトン・モデル。
海洋管理用神格。
全高七十八メートル。重量一万四千トン。宇宙戦闘形態はないが総質量三十五万トン。
便宜上人類側神格に分類するが彼女はまごう事なき眷属である。肉体を乗っ取り、素体となった少女の自我を上書きして誕生した。もっとも本人に言わせれば「こんなふうに生まれついてしもうたん私のせいちゃうもん。文句言うんやったら神さんに言ぅてえな」となるだろう。肉体は大阪生まれ。日本語で喋る場合は常に大阪弁。
武装は銛。相は大洋。紫がかった蒼い人魚型の巨神。銛は投射可能。
基本的には余剰質量散布型で、気象制御・海洋制御・海洋生物に対する微細処理等様々な能力を持つ。
海洋資源の管理用だが、戦闘能力は十分にある。神々の中にも不届き者は存在し、彼ら犯罪者から自衛するためである。
肉体は水中に適応できるよう人魚型に改造され、耳と腋に鰓が組み込まれている。構造上は肺魚に近い。もっとも、タラニスやアスタロトが生身で宇宙にいても平気だったように神格は酸素供給が外部からなくても問題ない。巨神から供給された電気で二酸化炭素を分解できるからである。
単独で長期活動できるように設計されており、定期メンテナンスと友人の神格サブノックが時々様子を見に来る時以外の大半を孤独に過ごしていた。
まだ少年だった髭熊が海で遭難した時助けたのも人恋しさ故である。その後彼と仲良くなり、ずるずると服務規程違反を繰り返した挙句ついには結婚(サブノックが立会人を務めさせられた)
神々への忠誠心は一応あるが、かなり希薄。己に与えられた使命、すなわち惑星環境の復活と夫である髭熊、そして友人サブノック以外は割とどうでもいい。門を経由して出現した地球軍が環境破壊をなるべく控えているのに対し、神々の軍勢が周辺環境の破壊もやむなし、という態度を取ったことから神々を見限った。
"大日如来"
ブッダ・モデル。
陸戦型神格。
武装は棍、光背、金剛杵。相は閃光。光背はカッターとして投射可能。誘導性能を持ち凄まじい切断力。
珍しく顔が隠されていない巨神。
アルカイック・スマイルを浮かべた銀の仏像である。
全高五十四メートル。重量一万三千トン。翼を持たず飛行能力は低い。だがその重量に見合わぬ俊敏さと、そして凄まじいパワー・防御力を誇る。跳躍力も良好である。
相は重金属粒子を磁界で加速して投射する粒子加速砲で、圧倒的な破壊力。
肉体となったのはライダーで有名な俳優。あのお方がウルトラなマンに改造されたのだからそりゃ強いに決まっており、神々が週一ペースで眷属を撃破されたのはもはや運命である。二年で戦争が終わったので96体で済んだ。むしろなんで改造してしまった。反乱するに決まってるやん(メタ発言)
"九天玄女"
タオ・モデル。
航空戦型神格。
性能は高機動型。相は振動。武装は剣、弓矢、符。投射可能。
全高四十八メートル。重量九千トン。
遠近双方で極めて優れた戦闘能力を発揮する仙女型の巨神。衣装は中華系というよりは狩衣とごっちゃになっている。胸当てを装備。顔は仮面に覆われている。色は碧。
剣を高周波振動させて物体を切断する能力があり、かつ刃そのものも単分子の厚みで凄まじい切れ味を誇る。これは矢も同様である。
動きは俊敏だがパワーが低いため、テクニカルな戦い方を要求される。
主武装の弓矢は限定的な空間転移能力を備え、つがえた矢をある程度遠くに出現させることが可能。また、自らの周囲に出現させた多数の矢を分子運動制御で投射し、敵を追尾させる事も可能である。
符は周囲を飛翔し、敵の攻撃をそらしたり、敵に張り付いて視界を遮る事ができる。
太陽の女王に並ぶほどの大英雄。肉体は台湾人。大陸から逃れて来た銘家に連なる血筋で武術の達人だった。鍛えた武術を生かす機会もなく、いずれは嫁に行くのだろう、と思っていたところ神格に改造される。
大変に気位が高い少女。まだ眷属だった時に"天照"と交戦して以来彼女をライバル視しており、肉体を取り戻してからも彼女とは競い合い、時に助け合う相棒とも言える仲となった。
彼女が編み出した絶技"三面六臂の術"は後に、第三世代型神格"斉天大聖"へ、相として機能的に整理した上で搭載されたほどの技。本来不定形である流体を意志の力で制御し、翼を手のように扱って武装を振るう。前後左右上下から襲い掛かって来た六柱の敵と同時に切り結んだという逸話すらあるほど。対神格戦に優れた彼女の援護がなければ、太陽の女王も遺伝子戦争中に果てていたはずである。
後に知性強化動物の教育のために奔走しており(言うまでもないが巨神については彼女ら人類側神格しか実技を教育できる存在がいない)、知性強化動物の半数以上が何らかの形で彼女の薫陶を受けている。
門開通時には自ら前線に出ようとしてひと悶着あったとか。
現在の身分は国連職員。暇ができるたびに各国の人類製神格たちへ稽古を付けに行くので恐れられている。
神格撃破数九十八。
"ジークフリート"
ニーベルンゲン・モデル。
汎用型神格。性能は防御型。
相は不死。武装は大剣、槍。槍は投射可能。
ウルリクムミ同様分子運動制御に特化した個体。ただしその能力はより防御的目的に特化されている。
反射神経と強靭さ、そして巨神自体の自己修復能力が徹底的にカスタマイズされている一方、動作そのものは鈍重でパワーは低い。
分子運動制御で大気を凝縮・固体化させて盾にしたり、敵の攻撃を分子運動制御でそらしたりといったことが可能。その精密さと速度は凄まじく、亜光速の粒子加速砲でもなければ撃たれた後からでも容易に防御可能。また自らに分子運動制御を働かせれば軽快に動き、剣を振るう事も出来る。
ただし、分子運動制御を敵神格に働かせるのは困難。分子運動制御自体は巨神の基本能力であり、必ず一定の防御措置が取られているからである。
よって、敵攻撃を捌きつつ隙を伺いカウンターをくわえる、というのが基本戦術。性質上神格以外の兵器を相手にする方が得意であるため、巨神撃破数は比較的少ない四十八にとどまっている。(それでも個人の戦果としては十二分に多いが)
肉体は三十七歳のドイツ軍人(改造当時)。寡黙で剣道の達人でもある銀髪の男。
"ニケ"
オリュンポス・モデル。
本体性能は標準的。相は勝利。武装は槍、剣、斧。投射可能。
"The-G"によって撃破された"ウィクトーリア"の完全同型機。
強力なセンサーを備え、索敵・情報処理能力は極めて優秀。
また攻撃用としても大出力レーザーを投射できる。
人類側神格としては参戦は後発のため、神格撃破数は四十。
肉体とされたのは十二歳のイタリア人の少女で、戦後は国連軍に協力しながらも実家の農園で暮らしていた。
"サブノック"
レメゲトン・モデル。
本体性能は標準的。相は建築。武装は槍、剣。槍は投射可能。
拠点構築のために建造された神格。
膨大な質量の巨神は優れた工作機械であり、原材料さえあれば、神々の文明で製造可能なあらゆる機械・物資を製造できる。ただし精巧の極みである神格本体は無理。
フォルネウスとは神格になる以前からの友人同士。彼女に頼まれてよく生活物資を運んでいるが本来は軍事用神格である。
肉体は大阪人だが標準語で喋る。なお肉体の意志はフォルネウス同様に残っていない。
一応人類側神格に分類しているが、彼女が曲がりなりにも友好的な人類は髭熊だけである。(それもしぶしぶ)
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