【資料集】

【神格名鑑】(主要・ライバルキャラクター)

■"ヘル"(カスミ)

「私は―――私は何なんですか。死体から生まれた化け物なんですか!?」

■ギュルヴィ・モデル。

 戦略級神格。都市破壊型。天体破壊能力を有する。大気圏外での運用は不向き。本体性能は標準的。相は鳴神。すなわち音響。

武装は長槍、短槍、剣。

重量一万トン、全高五十メートル。

■都市攻撃のために建造された特殊な(ある意味ではアスタロトよりも)神格。ただでさえ強力な神格の中でも、まさしく戦略級の存在である。彼女同様音を操る神格は枚挙にいとまがないが、彼女ほどの攻撃力を持つ個体は他に存在しない。人類の都市を、その住民に(なるべく)ダメージを与えずに破壊するために開発されたが、想定より破壊が無差別だったために実戦投入は見送られた。

 相の攻撃力は作中最強クラスで、重装甲の大型航宙艦や数百キロメートルサイズの天体すら単独で破壊可能。相を発動中のアスタロトを破壊できるのも、彼女を含むごくわずかな兵器と神格のみである。その代わり音は真空中では伝搬せず、大気中でも超音速の敵に作用させるのは困難なため、その攻撃力を生かすためには近接戦闘を強いられる。

 遠距離攻撃用に槍を投射可能。なお、投げた槍は任意に召喚以前の状態に戻し、消して回収できる。(大半の神格の標準装備)

この機能を逆用し、槍に本体を乗せて投射、巨神側を召喚以前の状態に戻して回収するという離れ業を編み出した。技なので武装投射・回収機能のある神格ならば原理的には誰でも習得可能。ただしアスタロト程縦横無尽に使いこなせる者はいない(ヘル本人にも無理)

■なお、神格が新しい肉体に神格本体を移植された場合、脳内を眷属として繋ぎ変えられ、かつての肉体の記憶を書き込まれた状態で復活する。

ヘルも同様の形で復活したが、記憶喪失(記憶書き込みに成功しつつも読みだせない状態)だったために、燈火たちとの共同生活で新たな"ヘル"としての人格を得た。

もっとも、彼女は「思考制御された上でなお、自発的に裏切った眷属」であるため、記憶を失わずに蘇った場合は元通り、カスミを慕い燈火を救ったヘルとなったはずである。ただしカスミとしての人格が残っているかどうかは怪しい。燈火たちもその点は覚悟の上だった。まさしくカスミはアスタロトとの戦いで"死んだ"のだ。だからこそ燈火は彼女にヘルという名を与えた。アスタロトとの再戦でのストレスが思考制御を改めて破壊し、更に蘇った記憶と混ざり合ってカスミ・ヘル・"ヘル"としての自我が再構築されている。

■ちなみに復活したヘルが上手に戦えたのは神格本体が戦闘情報をプールしていたため。おかげでどれほどのブランクがあろうと、彼女ら神格は技量が低下することはない。

■性格は温和。やや子供っぽいところもあるがこれはカスミとしての素である。


  ◇


■"エスス""タラニス"

「燈火は悪くないよ、私たちが子供産めない体なのが悪いんだからっ!」

「―――化け物の体もいいものですね。愛する人のために戦えるんですから」

■ケルト・モデル。

気象制御型兼、宇宙戦闘型神格。戦略気象攻撃能力及び宇宙戦闘形態を保持。

本体性能は標準的。センサー系が非常に充実している。相は風と雷。副次的に、構成原子を励起して雷撃を放つ機能を備える。(タラニスの雷撃は補助武装である)武装は短槍、矛、剣。

重量二十一万トン、両翼を広げると四百八十メートル。

陸上戦闘モードでは重量一万トン、全高五十メートル。

■神格としては完全に同型。巨神の色が異なる(エススが赤、タラニスが白)のは分子機械の工作精度によるばらつきがあるため。

作中で使う相の傾向が異なるのは好みの問題もあるが、二柱以上で同時に気象制御を行おうとすると制御が混線してしまうため。基本的にはエススが気象制御担当だが、タラニスも同じ事ができる。当然その逆も。

宇宙戦闘形態では凄まじい重量と巨体を誇り、その攻撃力はヘルには劣るものの、電撃は大型の航宙艦に致命傷を与えうる威力を持つ。

ただし、重力下ではその自重故に行動不能となるため、五十メートルクラスの巨神として顕現する。余った質量については気象制御に回される。基本的には宇宙戦闘型として設計されている。

■赤飯の話からも分かるように恐らく日本人。

■エススは明るく食欲旺盛。タラニスは穏やかで礼儀正しいが芯が強い。二人とも年齢相応の大人の女性である。



  ◇



■"ウルリクムミ"

「それにね。この体、今はそんなに嫌いじゃないんだ」

■ヒッタイト・モデル。

 ちなみに「~・モデル」というのは外観デザインの元となった神話体系を指し、基本的にはスペックに影響しない。もちろんなるべく相に合わせた神の名を選ぶなどはあるが割と適当(エスス・タラニスは男神名であるしウルリクムミに至っては神に戦いを挑んだ岩の巨人、というより怪物の名である)

 水陸両用型神格。本体性能は高機動型。非常に環境適応能力が高く、どんな地形でもその敏捷性を損なわない。また非常に頑強。

相は海と大地。武装は小剣。投射は可能。

重量一万一千トン、全高五十一メートル。

■分子運動制御に特化した個体で、水や岩盤など、大質量の物体を自由自在に操る事ができる。また、操る対象が動くのに必要なだけのエネルギーを保持していない場合に備え、エネルギー供給用に電磁波を発する機能が備えられている。この電磁波自体もかなり強力な攻撃手段となり得る。

どちらかというと相に頼って戦うタイプで近接戦闘は不得手である。水中でも機敏に動けるよう、武装は小剣のみ。

一行の中でもずば抜けて水中での航行能力・静穏性・ステルス性・活動時間が優秀。彼女が加入して以来水中を安全に移動する事が非常に容易になった。

■家族はまだ当時の街で生存しているものと思われるが、改造されて以来一度も会っていない。

■神格は神々の世界においては個人資産である。基本的には一つ、場合によっては複数の有力家門が資金を出し合い建造して、彼らの王へと戦力として供出する。他の兵器でもよいが、人気なのは神格である。理由は初期投資こそ必要なものの維持費が大変安く、恒久的に稼働するため。軍役で損耗した場合は一定の補償(人類社会における保険制度に近い)があるほか、武功を挙げれば恩賞が与えられる。そういった事情があるため、神格は家門の顔でありデザインは重視される。クムミが神格にされたのも神々の美的感覚で信じがたいほどの美女だったからに他ならない。(なお巨神の兜の下は、人間だった時の彼女が十七歳相当にまで成長した顔である)

■口調が硬いのは、日本語が彼女の母語ではないから。母語であるロシア語では非常に柔らかに話す。



  ◇



■"チェルノボーグ"(フラン)

「それにしても―――祈るって、どうすればいいんですの?」

■スラヴ・モデル。

環境改造型神格。

本体性能はあらゆる面で極めて高い。相は死。

武装は大鎌と剣。剣は分子運動制御で投射可能(というか投射用である)

重量十八万トン、両翼を広げると三百九十メートル。

陸上戦闘モードでは重量一万トン、全高五十メートル。

■機構的には気象制御型に近く、その巨大な質量の大半を周辺の数十キロの空間に分散させて、範囲内の物体を観測したり、微細な操作を施す事が出来る。

具体的には生物の育成を助けたり、昆虫をドローンに改造して偵察に利用したり、効果範囲内の傷病者複数を同時に治療したり、あるいは人間や生物の脳内から情報を取り出したりといったことが可能。ただし神格や神の肉体は防御されているため敵対的な操作はできない。

本編のように生体爆弾を作る事も出来るが、どちらかというと支援を得意とする神格である。目に傷を持つ神が説明しているように、本来は環境改造用。

前線で戦闘を行う場合は、大型の生体ミサイルを多数搭載して遠隔戦闘をメインで行う事が想定されていた。なお、宇宙戦闘で使用した生体爆弾の素材は魚と樹木である。生体以外の加工や機械類の製造も可能だが、専門の神格と比較すると劣る。

作中では鎌を複数出現させていたが、多数の剣を周囲に出現させて同時に射出することも可能。

タラニス同様宇宙戦闘形態は存在するが未使用である。

■ちなみに基礎設計者は神王で、ヘル・アスタロト・チェルノボーグは姉妹機の関係にある。

■父が四十代、母が三十代の時に出来た娘で大切に育てられていた。五歳ほど年上の姉は神々に連れ去られて行方不明。

■語尾が「~ですわ!」なのはあくまでも雰囲気がそうなだけで実際は彼女は英語をしゃべっている。機械取り扱いの手ほどきをしてくれた師匠の影響。



  ◇



■"アスタロト"

「―――はい。お任せくださいませ。お父様。必ずやご満足いただける結果を持ち帰りましょう」

■レメゲトン・モデル。

 対神格型神格。通常兵器との戦闘や大規模破壊は不得手である。当時多発していた神格の反乱という事故に備えるために建造された"神格を狩る神格"。そのため精神改造は非常に念入りに行われている。どんな神格とも互角に戦えるように極限レベルの生存性を与えられた。最大の皮肉は、最初に対峙した神格が彼女の防御を容易に突破できる姉妹機であったこと。そして、その眷属としての生涯で彼女が完全破壊に成功した神格がただの一柱も存在しないことだろう。

 本体性能は防御特化。全高四十五メートル。軽量級で、本体重量が九千トンしかない。甲冑を持たず、相で代用している。凄まじく俊敏で出力も高い。

更に本人の編み出した独自の"技"により、限界を超過した出力を発揮しても相で反動を打ち消せる。相が続く限り、標準型神格の約八倍のパワーと高い防御力、反応速度を発揮しうる。相は不滅。

武装は頭部衝角及び槍。槍は投射可能。

■相は、加えられたエネルギーを相転移するもの。受けた攻撃が破壊力を発揮する前に、そのエネルギーを物質転換することで無力化する。巨神自体が粒子加速器の進歩したものと思ってよい。アインシュタインの提唱したE=MC^2方程式により、エネルギーと物質は等価であり、莫大なエネルギーも質量で表せば極わずかなものである。

 神格の集中力が続く限り、標準型神格の二百倍(!)もの防御力を発揮し続ける事が可能。ただし負担が大きい。その弱点を補うために乗騎として蛇が与えられている。

■実はプラズマ制御型の亜種である。プラズマ制御型神格の本来の用途は元素合成及び大規模エネルギーの確保で、自在に核融合・光分解で元素を生み出すことが可能。余剰エネルギーは第二種永久機関としての流体の機能と粒子加速器に似た原理で物質化する。この、余剰エネルギー処理機構をカスタマイズして攻撃エネルギーの吸収機能へと昇華したのがアスタロトの"不滅"である。

■槍に本体を遍在させて投射、巨神を一度消して本体の近くに再召喚、という技を昇華し、飛来した槍を巨神でつかみ取って巨神内部へあらためて移動、敵に対して攻撃、という一連のプロセスを完成させた。便宜上疑似転移攻撃ともいう。

 ちなみにこのような超絶的な技は"絶技"と称され、両陣営の神格のうち数名がそれぞれ別の技を編み出している。("九天玄女"の三面六臂の術など)

■肉体は視覚を持たず、巨神のセンサーを恒常的に使用してものを見ている。両の眼窩は放熱孔。呼気、そして粘膜の気化で脳を冷却する他、肺の補助として酸素を吸収するという実用的な理由で配されている。脳が二つあり、酸素消費量が大きいからである。瞼の裏の歯は装飾だが一応眼窩の口からでもものを食べる事は可能。本人は決してやらないが。このような理由なので彼女の顔を元通りにする事は不可能。もしやるならばイシュタルの頭脳をまず摘出せねばならないからだ。その代償として彼女は凄まじい性能を誇っている。

■性格は誇り高く努力家。創意工夫を忘れず、自己分析は欠かせない。地球へ帰還し治療を受けた後は故郷に帰り、現地で新型知性強化動物の育成に関わる事になる。



  ◇



■"イシュタル"

(―――じゃあ、いいよ)

■レメゲトン・モデル。

特殊型神格。アスタロトの護衛兼乗騎として設計された蛇型巨神。

重量八万トン、全長四百メートル。

相を持たず、その巨体を武器とする。超重量級にもかかわらず運動性は良好である。(厳密に言えばその巨体を縦横無尽に動かせるだけの運動性に相のためのリソースが注ぎ込まれている)

■アスタロトと同時運用を前提として設計された特殊な神格。

外科手術により改造を施された脳を利用して制御するため、非人間型をしている。

その際、肉体の形状を変化させるのではなく、アスタロトの胎内に直接組み込まれた。五感もアスタロトと共有している。

■本人の性格はいたって無邪気で理知的。その技量もアスタロト当人にほぼ匹敵する。

人間としての記憶は消されているが、思考制御措置は行われていない。本人は自分が元人間であることを知っているが、その事実を受け容れてアスタロトを守って来た。その心も体も。この物語で最も人間ができているのは彼女かもしれない。

■神格なので実は脳内通信機で他者と普通にコミュニケーション可能。後に神々の宮廷での体験談を自らの視点で記したものを出版し、ベストセラーとなる。



  ◇



■"天照"(焔光院志織)

「裏切り者呼ばわりなどするな、この悪魔!!」

■高天原・モデル。

戦略級宇宙戦闘型神格。大規模光学砲撃用。宇宙戦闘形態を保持。護衛なしでの行動はあまり想定されていない。レーザー及び剣は自衛用である。大気圏内での戦闘は不向き。そのため、宇宙戦闘がほとんどなかった遺伝子戦争では大変に苦労した。

本体性能は標準的。相は太陽。

武装は剣。投射不可。

宇宙戦闘形態では重量二十万トン、直径二百三十メートルの円環がまわりに出現する。

陸上戦闘モード/光学砲撃形態では重量一万トン、全高五十メートル。

■気象制御型の亜種で、透き通るガラスのような巨神。補助武装として全身の原子を励起してレーザーを発射する機能を備えている("The-G"のレーザーはこれの模倣である)他、数千キロ範囲にまで広がった巨神の構成分子一つ一つがミラーとして太陽光を集約する機能があり、凄まじい破壊力を誇る。ただし性質上、時間帯や天候にその機能が著しく制約される。

■遺伝子戦争時の神格撃破数は百十四柱。人類側神格トップである。

人類の間では「太陽の女王」の異名で呼ばれる伝説的神格。本人のエピソードだけではなく、他の人類側神格(好敵手にして相棒である"九天玄女"など)との絡みにも事欠かない。

■正義感の強い性格。引退で今の忙しさを失うと燃え尽き症候群になるのではと内心ビクビクしていた。その意味では当面引退の必要がない現状に安心している。実家は華族の流れをくむ銘家で、弟が家督を継いでいる。

■ちなみに本名の元ネタは神々の砂漠の焔光院香澄(メタ発言)

 


  ◇



■"九尾"

「私は日本統合自衛隊、神格部隊所属、"九尾"級"はるな"。知性強化動物、はるな」

■人類製第一世代型神格。十二柱が建造された。人類、神々両陣営を通じて知性強化動物を用いた初の機種でもある。全高五十二m(耳含む)、重量一万八千トン。

本体性能はバランス型。相と呼べるほど高等な機能はないが、あえて強弁するならば尾の変形がそれにあたる。

■人類が建造した初の神格。今後のモデルケースとしての意味合いが非常に強い実験的神格である。人体ベースの神格と異なり思考制御は受けていない。彼女らの人類への帰属意識は本心からのものである。またそうなるよう愛情をかけて、細心の注意を払い育てられた。知能・学習能力は人間をはるかに上回る。人権が認められており、職業選択の自由がない以外は人類と同等に扱われる。ちなみに婚姻や飲酒が何歳から可能かについては国会でひと悶着あったという(言うまでもないが神格なので飲酒や喫煙による肉体への悪影響は存在しない。婚姻は重要な問題だが)。西暦二〇五二年時点の日本の法律では、知性強化動物は防衛大学校を卒業してからが成人とみなされ飲酒・喫煙・結婚・選挙権の行使等も許される。被選挙権も一応存在し、人間と同じ年齢から。ただし被選挙権の行使については修復不可能な損傷などで引退を余儀なくされた場合に限るだろう。カタログスペック上の寿命は無限である。

■生物学的には「獣相をしただけの人間」と言っていいほど人類に近く、実質的に「外見をいじり、成長速度と知能を大幅に強化しただけの兵器用人工人種」である。一応のベースとなった動物は犬。彼女ら九尾だけではない。第一世代型全体が「人間の遺伝子・肉体構造から脱却しきれなかった」生命体とも言える。ある意味で彼女らは、同胞を生物兵器たる神格の素材にせざるを得なかった人類が「人間ではない」と自己欺瞞するための存在である。性成熟したはるなが刀祢を選んだのも肉体的にはほぼ人類だったからだろう。肉体自体は生殖能力を持つが同種の雄がいないため実質的に不可能である。神格移植後は過剰な生理的強化を神格本体の管理によって安定化させているため生殖能力を喪失する(性欲は存在する)。ただし養子をとり人間の子供を養育している例は存在している。上記のような理由から、九尾(をはじめとする第一世代型)の神格を人間の脳内に移植した場合、多少性能は劣るが概ね機能する。彼女ら以降技術の進歩により、どんどん人間から生物学的に離れた知性強化動物が開発され、やがて根本的に人類構造から脱却した知性強化動物(=第二世代型)が誕生する事となる。

■神格によって強化された肉体の性能はそこまで悪くないが、治癒速度は標準型神格に劣る。

■巨神の性能は低いの一言。脆弱でパワーが低く、戦闘速度は亜音速が限度。標準型神格と互角に戦うには(技量が同等ならば)三~四機が必要(つまり標準型神格二十四柱相当のアスタロトが持つ戦力ははるなの96倍だった)。ただしそれでも、建造当時には人類がそれまで創造した中で最強にして最高の兵器だったことは間違いない。単価は開発費込で二千四百億円。高等生物を使用した人類史上初の生体兵器としてみると恐ろしく安いと言えるだろう。維持費は訓練費と士官一名分のコストだけで賄えるので、その意味でも非常にコストパフォーマンスの良い兵器である。

■神格・巨神としての能力は全て備えている。熱核兵器に耐え、自力で大気圏離脱・突入が可能(時間があれば第二宇宙速度まで加速できる)。深海でも行動でき、無補給・無整備で半永久的に稼働し、人間以上の知性で自己判断すら行う。

電磁流体制御能力が低いために飛行は分子運動制御のみで行うが、尾を変形させて制動をかけるなどのテクニックが存在する。

■武装に相当する外部構造体は尾。

そのサイズは本体に匹敵する巨大さで、自在に変形して様々な武器にできる。

最強の武装は長砲身主砲で、流体で形成した四トンの砲弾を秒速10kmで投射する。命中した砲弾はその流体を励起させて指向性爆発。対象に対して熱核弾頭以上の威力を発揮できる。

 補助武装として電子砲を装備。MBTが主砲として搭載する120mm滑空砲並みの威力を持つ電子ビームを毎分四十発連射可能である。

標準攻撃形態では尾を左右に伸ばして三連装砲塔を二基、合計六門の主砲を形成。更に、電子砲二門を展開する。

 近接戦闘形態では、それらの二基の砲塔を巨大な手に変形させて格闘攻撃を行う。

他、尾を無数に枝分かれして近接戦闘に用いるなど多種多様に変形が可能。

■劇中ではるなが超絶的な技量を発揮していたが、彼女ら"九尾"は全員が同等の力量を持っている。人類の期待を一身に背負い、十八名の人類側神格の薫陶を受け、彼ら全員を相手にした模擬戦を行うなど非常に充実した教育を受けており、人類製神格のほぼすべてに対して仮想敵役を務めている凄腕揃いの姉妹である。イギリスの第三世代神格"チェシャ猫"三十六柱相手の非公式演習で、十二柱の九尾が完勝したのは未だに語り草。

■アスタロトの疑似転移攻撃に対して、"九尾"以外のどの神格であっても対処できなかっただろう。その意味では相性が非常によかったと言える。

個体ごとに性格は異なるが、ベースが犬のためか人懐っこい傾向にある。

はるなの性格は真面目でおっちょこちょい。喋り出すと止まらないが、刀祢は適切に要点を押さえてストップできる。

■ちなみにはるなは刀祢のヒロインなので燈火が主人公のエピソードでは絶対に死なない。(メタ発言)

■知性強化動物は戦略兵器のため、人類間の紛争で用いてはいけない事が国際法で定められている。"人類の敵"であることが国際法上定められているテロと海賊行為は例外だが、想定しているのは当然のことながら神々をはじめとする異種生命体勢力である。とはいえ、その汎用性から、宇宙開発や深海探査、災害救助など平和目的においては様々な用途で用いられる。

■ちなみに巨神がオレンジ色なのは某ロボットアニメとは全く関係ない。九尾のカラーは古いバージョンの、まだ戦闘シーンがない版の時に決定したもの。お願い信じて(メタ発言)



  ◇



■"太陽を隠す者"

「―――ごめんなさい」

■気象制御型神格。宇宙戦闘型でもあり、戦略気象攻撃能力及び宇宙戦闘形態を保持。旧型。

性能は全体的にやや低い。機齢六百歳。相は雲。

武装は短刀と弓矢。

重量十九万トン、両翼を広げると四百メートル。

陸上戦闘モードでは重量九千五百トン、全高五十メートル。

■基本的にはエスス・タラニスの性能をダウングレードしたような能力を持つ。雷撃も投射可能。本編で天照が彼女を振り払っているのも雷撃を流し込まれるのを恐れてのこと。

■天照の師匠で、ほんの数週間だが彼女の戦闘訓練及び、当時の戦略状況についての教育を施した。

■神のクローンとして生まれ、自らを創造した家門の庇護の元育ち、脳内に外科手術で機械生命体を埋め込まれて神格となった。思考制御は受けていない。そのため彼女の神々への帰属意識は本心からのもの。彼女に限らず人類を用いない旧型の神格は全てそうである。

■高齢機であるため旧式化しているが、凄まじい量の経験を積んでおり、その力量は高い。相性(大気圏内で戦う限り光学系の天敵である)を抜きにしても本来天照が勝てるような相手ではないが、模擬戦で負けが込んだ"天照"が組み立てていた奇襲プランを詩織が流用して勝利した。

■巨神は本来、災厄=超新星爆発後に壊滅するであろう世界を復興するための高能力作業機械として誕生した。管理ユニットである神格に知的生命体を用いるのはその名残だ。インフラが壊滅した世界に残すのだから、自らを維持し、自己判断ができなければならない。彼ら彼女らの奇跡のような能力もそのために与えられたものである。

■ちなみに彼女のような旧型が本編中であまり出てこないのは遺伝子戦争で相当数が撃破され、数が減ったため。

■名称は神々の伝承に出てくる、太陽と対決した雲の名に基づく。

■性格は生真面目。

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