〈Level02:さらに広がるサバイバルライフ〉

EXP02

娘「おはようございます!」


ドラゴン「……おはよう」ファー


娘「元気ないですね」


ドラゴン「朝弱いんだよ……寝心地はどうだ?」


娘「上々でした。魔法って……いいですね!」


ドラゴン「確かに便利だな。娘の町には魔法はないのか?」


娘「ないですね。夢やおとぎ話みたいな話です。……ドラゴンさんも似たようなものですが」


ドラゴン「だからこそ過剰に恐れられているのかもな」


娘「私もここに来るまではビクビクでした」


ドラゴン「その割には順応力すごいがな」


娘「私にも魔法って使えるのでしょうか……?」


ドラゴン「使えるんじゃないか?」


娘「むむむーっ……無理ですよ」


ドラゴン「魔法を使いたいなら、それなりに魔学を勉強しないとな」


娘「うへ……勉強ですか……」


ドラゴン「確かその小屋の本棚には魔法書がいくらかあったと思うぞ。……俺対策だろうが」


娘「ほへぇ……ちょっと読んでみましょうか」


ドラゴン「うむ」


…………


娘「……わかりますかね?」


ドラゴン「どうしてもというなら俺が教えてやってもいいぞ」


娘「ほんとですか!?」


ドラゴン「あぁ、構わん。どうせ暇みたいなもんだしな。まずはやっぱり口から火を吹く魔法から……」


娘「火は手から出る方向でお願いできませんか?」



ドラゴン「子ドラゴンはもう口から火を吹けるんだぞ」


子ドラ「キュー」ブワー


娘「私も負けないようにがんばります」


ドラゴン「あぁ、そうだな」


娘「それはそうと、今日はお魚を獲りに行こうと思うのですが」


ドラゴン「あー……じゃあ初めてだしな、一緒に行くか」


娘「えっ」


ドラゴン「えってなんだよ」


娘「ドラゴンさん、大きすぎません?」


ドラゴン「一流ってのは縮小魔法くらい使えるんだよ」シュルルルル……


娘「わぁ……なんか私でも倒せそうなサイズ感ですね」


ドラゴン「燃やすぞ」


娘「常にそのサイズでいたら生け贄もいなくなるんじゃないですか?」


ドラゴン「その発想はなかったな」



[川]


娘「川、結構近いんですね」


ドラゴン「遠いと行きたくなくなるしな、いいことだろ」


娘「とことん出不精ですね」


ドラゴン「みんなそんなもんだ」


娘「私は旅行とか好きですけどね……自分で行くことはないので、本で読んだりするばかりですが」


ドラゴン「似たようなものじゃないか」


娘「大違いです。ところで釣り道具などはないのですがどうやって獲りましょう」


ドラゴン「まぁ、見てな」


子ドラゴン「…………キューッ!」バシャーン


ピチピチピチピチ


娘「いやいやいやいや……そんな思いっきり川の中の魚掴むとか無理です無理です。なんですかそれ。熊ですか?」


ドラゴン「ドラゴンだよ」


子ドラゴン「キュー!」バシャーンッ


ピチピチピチピチ


娘「わかってます!」



娘「えっ私もあんな感じで獲ってく感じですか?」


ドラゴン「そのうち釣り道具を買ってくるといいんじゃないか」


娘「……今日は子ドラゴンさんにお願いしておきます」


子ドラゴン「キュー!」


ドラゴン「いいってさ」


娘「ところで何言語なんですかあれ」


ドラゴン「ただの鳴き声だよ」


娘「ドラゴンさんは喋れますよね?」


ドラゴン「まぁ、なぁ。昔勉強したんだよ」


娘「ははぁ……あっ、じゃあ……」


テクテクテク……


子ドラゴン「キュー?」


娘「子ドラゴンさんにはこれからお世話になる代わりに言葉を教えてあげますね!」


子ドラゴン「キ,キュー!」


ドラゴン「よろしくだってよ」


娘「その翻訳も勉強したんですか?」


ドラゴン「そこはなんかわかるんだよ」


娘「よーし、じゃあ頑張りましょうね!」


子ドラゴン「キュー!」


ドラゴン「ちなみに俺が言葉を話せるようになるまで十年かかったぞ」


娘「えっ」



[洞窟]


子ドラゴン「キュー」ブワー


娘「焼き加減が難しいですね」


ドラゴン「火力が強いしな」


娘「……あと塩が欲しいです」


ドラゴン「明日は町に出てみるといいんじゃないか」


娘「うーん。そうですね。欲しいものもいっぱいですし」


ドラゴン「じゃあ明日は町まで連れてってやる」


娘「わーい!……あっ、でもお金はどうしたら……」


ドラゴン「あぁ、それならな。隣町に連れてった人間にも渡していたんだが、この洞窟は宝石が生まれやすいようでな……ほら」ゴロゴロ


娘「わっ……綺麗……いいんですか?」


ドラゴン「なに、俺の後ろにはまだまだある。……それと、これもだ」ゴロゴロ


娘「えっ……果物?」


ドラゴン「木の上に成ってるものをいくらか採ってきておいた。魚だけでは体に障るだろう。食べておくといい」


娘「本当に面倒見がいいですね、ドラゴンさん」


ドラゴン「ドラゴンだからな」


子ドラゴン「キュー!キュー!」


ドラゴン「あぁ、子ドラゴンのぶんはこっちだ」


娘「……ありがとうございます」フフッ

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