第3話  ステータス

「さて、『ステータスオープン』と唱えてみるがよい」


「「ステータスオープン」」



 三人の前にウィンドウが開くが、名前、年齢、称号以外は全て『表示不可』の文字で埋め尽くされていた。


「??????????????」




「さて、どうするかのう。ひとつ我が本気を出して性能アップしてみるか。ああ、その前にそなたらの称号は隠しておくぞ。このようなものは大変な混乱を引き起こすからのう。それでは、ほれ!」




 元哉たちのステータスウインドウが、一回閉じて再び開いた。


-神建 元哉-


【体力】   483200

【魔力】   9999999

【攻撃力】  1478000

【防御力】  2487400

【魔法制御】 0

【敏捷性】  134500

【知力】   12300

  

称号    

スキル    魔力暴走  魔力吸収  魔力放出  身体強化



-元橋 橘-


【体力】   87800

【攻撃力】  2000

【魔力】   836400

【防御力】  3500

【魔法制御】 2254000

【敏捷性】  3500

【知力】   246000

  

称号     

スキル    天界の秘術  原子操作  現代魔法



-元橋 さくら-


【体力】   332900

【魔力】   442800

【攻撃力】  166400

【防御力】  164700

【魔法制御】 15400

【敏捷性】  1777000

【知力】   表示不可(笑)


称号     ????????

スキル    身体強化  魔弾の射手




「これはまた・・・・・・  よくもこのような数字が並んだもの」


 さすがの神様も三人のステータスを見て、唖然とする様子が伝わってくる。


 実は、ここ『アンモースト』は神々の次元においての格付けが、地球と比較すると遥かに下になる。よって、他の星から来た者たちは、この星に来た時点でその能力が異常に高い数値になってしまうのだ。過去に流刑等でこの星に送られた者達は例外なくその能力を強制的に下げられる措置がとられていた。


 ちなみに元哉達の能力は、地球にいた頃の百倍になっている。でなければ、腕立て伏せが10回しかできない橘の攻撃力が、2000などということは有り得ない。


 神様しばらく考え込む様子であったが、ようやく決断した。


「うむ、1000分の1にする」



 神様の言葉に、いったい何のことか分からない様子の三人。


「今言った通り、そなたらの数値を1000分の1に下げる。このままでそなたらが、この世界で暴れるとこの星が持たんのじゃよ」


 さすがに不安を覚えた元哉は、1000分の1は厳しすぎるのではないかと抗議をしたが、神様は取り合わない。


「そなたらは、握手をしようとして相手の腕をもぎ取ってしまう様な怪物になりたいのか? 少しの力からスタートして、この世界での能力に少しずつ慣れていけばよい。レベルが上がれば能力も上昇するし、それほど不安を感じなくても大丈夫!」



 彼らが頷くのをみて、ようやく安心をした神様は、


「そなたらが他の星から来たと分かるようなスキルと称号は全て隠しておくぞ。では、これが新しいステータスじゃ。ほれっ!」




-神建 元哉-    レベル1


【体力】   483

【魔力】   9999

【攻撃力】  1478

【防御力】  2487

【魔法制御】 0

【敏捷性】  134

【知力】   12


称号     


スキル    身体強化



-元橋 橘-    レベル1


【体力】   87

【攻撃力】  2

【魔力】   836

【防御力】  3

【魔法制御】 2254

【敏捷性】  3

【知力】   246


 称号     

 

 スキル  



-元橋 さくら-   レベル1


【体力】   332

【魔力】   442

【攻撃力】  166

【防御力】  164

【魔法制御】 154

【敏捷性】  1777

【知力】   3(笑)


称号    

 

スキル    身体強化  





「さて、ステータスについて何か質問はあるかのう?」


 神様の問いかけに元哉が声を上げた。


「この世界の普通の人のステータスは、どのくらいですか?」


 神様の説明によると、町や村に住んでいる成人男性が、レベル10で体力が100、平均的な魔術師の魔力が80~100、Aランクの冒険者がレベル50で体力が700といったところだそうだ。


 それを聞いて元哉は少しだけ安心した。一般の成人男性の体力や魔術師の魔力は大幅に上回っていることが分かったからだ。

 

「そうじゃ、大事なことを忘れておった。能力を削った分、補填をしようと思っておったのじゃ。御使いの嬢ちゃんにはこの世界の全ての属性魔法をやろうと思うがどうかな?」


「属性魔法とは、どのようなものでしょうか?」


「この世界の魔法は、【火 水 土 雷 風 闇 光 無属性】の八つに分かれておる。これらを全て使いこなすのは至難の業であるが、そなたであれば不可能ではあるまい。どうかな?」


「なかなか興味を惹かれます。ありがたく戴いておきます」


 神様は次に元哉に声をかける。


「破王よ、そなたにはアイテムボックスをやろう。なんでも無限に収納できて、収納中は時間経過もしないというすぐれものじゃ」


「わかりました、受け取っておきます」


 元哉はそれがどのくらい便利なものか、いまひとつピンと来ていないのか、普通にお礼を言うに止まった。


 そして何かもらえると聞いて、目をキラキラさせて待っている者が一人いた。


「ウサギの嬢ちゃんへのプレゼントは、まだ準備が整わないから後日にしよう」


 あからさまにがっかりするさくら。期待が大きかった分、その反動も大きい。


「そんなにしょげることも無かろうに、腹でも減っているのか? なに、食べ物であれば我の使いが案内するから、好きなだけ食べるがよい」


 その辺の森に実っている『万能の実』は食べたいものを思い浮かべて、少量の魔力を流すと中から食べ物が出てくるそうで、これからの旅に備えて好きなだけ採ってよいと許可が出た。


 太っ腹の神様の言葉に、再び目を輝かせるさくら。現金なものだ。


 いつの間に現れたのか、五羽の白兎がさくらの周りに集まっている。何でもこの世界では、ウサギは随分昔に絶滅しているらしく、不憫に思った神様がここで保護しているそうだ。


 さくらの周りから離れないのは、おそらく『獣王』の称号の影響だと思われる。


 その後は食事をして、橘が土魔法で作った風呂に入って、神様が用意してくれた小屋でぐすっりと寝ることができた。

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