第6話「負けられない闘い」


 ―葉祇音街―


 荒廃した街並み。


 さっきまであった平和な街の姿は、最早どこにもなかった。


 そこでは墨のような濁った体色を持った歪な怪物カグマと、現地のヴァリアント・ハンター3人が戦っていた。


 黒い鎧スーツを身に纏い、武装したヴァリアント・ハンター達は見事なチームワークで敵を翻弄していた。


 ―鎖渾宅前―



「乗って!」


 黒い鎧スーツを纏った鎖渾はバイクに跨り、玄関前に居る木庭に乗るよう指示を出した。


「わかった。」


 木庭は鎖渾の後ろの座席に乗った。


 ブロォオオオオオオオオオ・・・・


 鎖渾はカグマが暴れている現地・葉祇音街へ向けてバイクを走らせた。



「ウギィヒャヒャッ!」


「あっ!?」


 すると突然目の前に、コウモリ型のカグマが現れた。


 鎖渾は思はず声を漏らす。


 ピピッ‥


「カグマの生体反応を確認。」


 トゥルルルルル…


「暫定CA係数482、討伐対象です。」


 鎖渾が身に着けていたCA判定機がコウモリ型のカグマのスキャン結果を報告する。


「俺に任せろっ!」


 木庭は走行中のバイクの座席に立った。


 身体全体から禍々しい赤黒いプラズマが放電する。


 バチバチッ!


「‥邪魔すんじゃねぇ!」


「虫けら共がぁああああッ!!!!」


 木庭は右手を前に突き出し、並べるように左手をその隣に添え、まるで刀を引き抜くような感覚で左手を横にスライドさせた。


 ヌムゥン‥


 赤黒いプラズマと共に、手と手の間に眩い棒状の光が出現する。


 それはやがて剣へと姿を変える。


 剣の鋭い刃が右手の間から顔を覗かせた。


 ダッ!



 木庭は召喚した禍々しいツルギ≪灼狩ノヤガノツルギ≫を構え、コウモリ型のカグマがいる上空に向かって、一気に飛翔した。


「はぁあああっ!!!」


 ザンッ!


 ピキシャキィィ…


 ダイヤモンドのような輝きを持つ結晶体諸共、木庭はカグマを倒した。



 スタッ‥


 そして、鎖渾が運転するバイクの座席の背後に着地した。


「ねぇ、その剣は?」


 鎖渾は木庭に訊く。


「対カグマ用に造られたツルギ。」


「灼狩ノ剣だ。」


「ソンネンカに触れた時に、俺が手に入れたものだ。」


「なるほどね。」


「‥さぁて、もうすぐ現地に着くわよ?」


「みんなが待ってる。」


「おう!」


 木庭達は通報があった現地へと向かった。



 ―その頃、現地―


 ギギィン!!


 ガッ!


 両手剣のような黒い剣を持つヴァリアントの男性が、カグマに剣をカグマに向かってぶちかました。


 カグマは片足を切り落とされた。


 シュゥウウ


 ‥が、すぐにそれは修復された。


「き、効かないっ!」


 両手剣を持った細身の男性は声を漏らした。


「ちっ、この野郎ぉおおおおっ!!!」


 ガチャッ‥


 ズギュギューン!ズギュギューン!


 体格の良いオールバックの男性は、ライフル型剣銃を構え、カグマ目掛けて銃弾を放つ。


 ボコボココンッ!!


 カグマの身体に銃弾が命中する。


 しかし、カグマはまるでスライムのように、ヌメとした体で受け止め、銃弾を地面に落とした。


「なっ!」


 ビビビュビュブゥウウウウウウン…ッ


 カグマは再び、街を火の海に変えた赤い光を生成した。


 エネルギーが顔の中央に集まり、凝縮。


 そしてバースト(爆発)する勢いで、3人のヴァリアント・ハンター達に赤い弾丸を発射した。


 ピシュギューン!!


「うわぁああああああああああああああああああああああああ‥‥。」



 悲鳴が荒廃した街の中心で響き渡る。


 ボゴォオオオオオオオン‥。


 鈍い爆音と共に、灰色の煙が立ち上る。



「ふはははは…。」


 上空からその様子を見て、嘲笑う何者かがいた。


 白衣を身に纏った、10代の少年だった。


 謎の能力で体ごと宙に浮いている。


「どうだ?僕が造った“KAGUMA-1359”の威力…。」


「最高だろう?メリー。」



 少年は更に一段上の空に居る金髪の少女メリーに言った。


 彼女は赤と黒のゴスロリを身に纏っていた。


「そうね‥、素敵なショーが見られたわぁ。」


 青と緑のオッドアイを持つメリーは、変わり果てた街を見て微笑んだ。


「‥さて、次はどの街を壊そうかなぁ…!?」


 白衣を着た少年は目を疑った。



 ―地上―



 ビチビチッ‥ギチッ!


 禍々しいプラズマが、煙が舞う辺り一面に放電していた。


 やがて人影が現れた。


 そこには灼狩ノ剣を横に両手で構える木庭少年が居た。


“KAGUMA-1359”が撃ち放った破壊光線を、木庭は灼狩ノ剣で打ち消したのだ。


 その背後には鎖渾とさっきまで戦っていたヴァリアント・ハンター3人が居た。


 ―上空―


「なっ?!」


 白衣を着た少年はショックを受ける。


 糸も簡単に、“KAGUMA-1359”が撃ち放った破壊光線を打ち消されたことに。


「あーらら。」


 片目を瞑ったメリーは呟いた。


 ―地上―


「大丈夫ですか?」


 鎖渾は傷ついたヴァリアント・ハンター達に声を掛けた。


「あ、あぁ…。」


 直後、ヴァリアント・ハンターの1人が持つCA判定機が起動した。


 ピピッ‥


「およそ1メートル先、カグマの生体反応を確認…。」


 カグマの生体反応…。


 この場合のカグマは、ヴァリアント・ハンターの前に立つ木庭のことだ


 鎖渾の顔から血の気が引いた。


 CA判定機の次の言葉が、木庭に対するヴァリアント・ハンター達の印象を決定づけるからだ。


 トゥルルルル…


 恐れていたCA係数のスキャン工程が始まった。


「‥暫定CA係数892。」


「――――――――討伐対象です。」


「……………。」


 木庭は沈黙した。


 ヴァリアント・ハンター達も、言葉を失っていた。


 CA係数の数値が昨日よりも高く出ていた事実もまた、鎖渾の胸を締め付ける。



「か、彼は無害なカグマです…。」


 鎖渾は勇気を振り絞り、木庭を擁護した。


「‥安心してください、必ず敵を仕留めます!」


「行くよ、木庭!」


「わっ‥。」


 鎖渾は木庭の手を引いた。



「お、おい鎖渾っ!」


「今の大丈夫なのか…?」


 木庭は鎖渾に手を引かれながら訊いた。


「‥わからない。」


「でも、木庭は心配しないで。」


「後でみんなに説明するから…。」


 鎖渾は不安な表情を浮かばせながら言った。


「とにかく今は、目の前にいるあいつをどうにかしないと。」


 鎖渾は真剣な眼差しで、目の前にいるKAGUMA-1359を見た。


 鎖渾達とKAGUMA-1359”との距離は、およそ40メートル。


 ピピッ‥


 鎖渾のCA判定機が起動した。


「およそ40メートル先、カグマの生体反応を確認。」


 トゥルルルル…


「暫定CA係数1791、討伐対象です。」


 機械音声がKAGUMA-1359のCA係数を査定した。


 ―上空―


「‥ふっ、まぁいい。」


「敵が1人や2人増えたところで、特に変わりはない…。」


 少年は不敵な笑みを浮かべた。


「それ、絶対倒される奴が言う台詞セリフ。」


 メリーはボソリと呟いた。


「うっ‥。」


 ―地上―


 鎖渾は首に掛けた紺碧のペンダントに触れた。


 鎖渾の瞳が黒から透明な紺碧の色に変わる。


 鎖渾の瞳に映る世界は、次第に色が失われ、やがて現実味の無いセピア色の世界=モノクロに変わった。


 そして、モノクロの世界に映るKAGUMA-1359の内部に煌く花(コア)を透視する。


 黒光りする濁った結晶体が、カグマの身体の中心部にあることを鎖渾は認識した。



「‥木庭っ!」


「敵の中心部に花が見えるっ!」



「そこをやれば、あいつは死ぬ。」



「わかった!」


「後は俺がっ!」


 ダッ!


「ちょっ、木庭!」


 木庭は一人で、KAGUMA-1359に向かって走り出した。


 ―上空―


「‥っ、殺れ!KAGUMA-1359!!」


 白衣の少年は命令した。



 ―地上―


「グケケケッ!」


 カグマは不気味な声を発した。



 タッタッタッタッタ…


 木庭の耳に、自分ではない足音が聞こえて来た。


「なっ‥。」


「もぅ、勝手に行動しないでよ!」


 鎖渾だった。


 カタカタッ‥


 木庭の左側を走りながら懐から何かを取り出した鎖渾は、ライフル型の銃器に変わったそれを手に持った。



「別に倒すだけなんだからいいだろ?」


 と、木庭は言う。



 今までカグマと1人で戦ってきた木庭の人柄が現れた一言だった。


「それはそうだけど、“私も一緒に戦ってる”ってこと、忘れないで欲しかった。」


「ただそれだけよ…。」


 鎖渾は視線をKAGUMA-1359に向けて言った。



「鎖渾…。」



「‥なら、お互い足引っ張んじゃねえぞー!」


 木庭はそう言うと、手に持っていた灼狩ノ剣を横に構えて立ち止まった。


「わかってるわよっ!」


 ガチャッ‥


 鎖渾もまた、その場で銃を構えた。


 目の前にはカグマが居る。



「ギシャヒャアアッ!!」


 カグマは奇声を上げる。


 太い前脚を木庭と鎖渾に向かって突き上げた。



 ズギュギューン!ズギュギューン!


 ガチャッ‥ズギュギューン!


 鎖渾はカグマの前脚に銃弾を撃ち込んだ


 カグマの前脚は砕け散り、その衝撃でカグマは怯んだ。



「‥なんじを封じし光の刃。」


「今こそ無に還さんことを、ここに誓うっ!」


 ビジギッ‥


 木庭が何かを唱えると、灼狩ノ剣にプラズマが走り、眩い光を放つ。


「放てっ!灼光閃刃レイ・ブレード!!」


 木庭は叫びながら、カグマが居る空間を灼狩ノ剣で振りかざした。



 その瞬間、眩い光を放つ刃が軌跡を描き、カグマを左右真っ二つに斬った。


「ビギシャァアアアアアアアア!!!!!」


 カグマは断末魔を上げた。


 その瞬間、分厚い蔓の膜で覆われた結晶体のコア(花)が、カグマの体内で浮上した。


 どうやら見えない領域に在ったそのコアは、カグマとしての個体が失われる瞬間まで出現しないようプログラムされていたようだ。


 そのコアを核に、KAGUMA-1359は修復を始めた。


「させるかっ!」


 ダンッ!


 木庭は20メートルもの高さにあるそのコアに向かって飛翔した。


 ギギギギ‥



 修復されたカグマの顔が木庭を捉える。


 ビギギュギュグゥウウウウウウウウウン…。


 そして、再び赤い光を集め始めた。


 この街を火の海に変えた破壊光線を、木庭に撃ち放つ気だ。


 木庭の居る地点から後ろには、自分を見守る鎖渾や駆け付けた他のヴァリアント・ハンターが居た。


「ちっ!」


 木庭は空中で、さっきヴァリアント・ハンター3人を守った時のように、灼狩ノ剣を横に構えた。


 ―2人から少し離れた地点―


「‥あの少年は?」


 偉そうな美形の青年が、木庭と鎖渾の居る地点から少し離れたところで見守るヴァリアント・ハンター3人に訊いた。


「CA係数892のカグマです。」


「我々3人も同時に判定機のスキャン結果を聞いたので、間違いありません。」


「さっきまで鎖渾と一緒だった模様。」


 ヴァリアント・ハンターの3人は男に報告した。


「鎖渾と…?」


 青年は木庭を後ろから見守る鎖渾の背中を見つめた。


 青年の名はシャウロ・レイル。


 ヴァリアント・ハンターを束ねる組織のリーダー的存在である。



 ―空中―


 ビュギィオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!


 カグマの顔から赤い光が木庭に放たれた。


「っ!」


 バシキィイイイイイイインッッッ!!!!!!!


 木庭は灼狩ノ剣を両手で構え、カグマが放った赤い光を空に跳ね返した。



「‥コア取り込んじゃったから、少しアレだけど。」


「さっきより火力は一段と高くなってる。」


「身が亡びるのも時間の問題だ…。」


 上空から見下ろす少年は言った。


「ローレン、うち眠くなっちゃったから先帰ってるー。」


「え?w」



 視点はKAGUMA-1359の攻撃を食い止める木庭に戻る。



(やべぇ、このままじゃ殺られる…。)



 木庭は赤い光を放つカグマを見た。


(一か八か…。)


 木庭は灼狩ノ剣を構えていた両手の向きを調節した。



 上空に向かって放たれてる光の道筋を、光を放つカグマ自身に跳ね返す。


 そして、中のコアごとカグマを倒そうと考えた。


「ちっ‥。」


 しかし、なかなか思うようにいかない。


 肉体の疲労が重なる。



 一瞬、蒼い炎の花びらを揺らす一輪の花が、木庭の瞼に浮かんだ。


(こうなったら…。)



「‥頼むっ!命を燃やす花、ソンネンカよ!」


「俺に、この状況を打開する能力ちからをっ!!」



 チリリリーン‥‥


 ポタッ‥


 鈴の音と共に、ソンネンカの花びらから一滴の雫が、川辺の水面(みなも)に落ちた。


 波紋が軸のように広がっていく。


 その水面の近くに居た謎の白い少女が、静かに微笑んでいた。



 場面は木庭達がいる世界に戻る。



 大気圏に近い空。


 下に雲が漂うこの場所で、雫が落ちたような波紋が広がった。


 それは薄い輪郭を描き、巨大なミラーを形成する。


 すると、木庭が跳ね返した赤い光が、そのミラーに向かって放たれる。


 その瞬間、ミラーに当たった赤い光が、次々と地上へ向けて反射された。



 ―更に下の上空―


「まだショーはこれから‥。」


 帰ろうとするメリーを引き留めようとするローレン。



 バシュギュゥウウウウウウウウウウウウンッ!!!!!!!!


 赤い光が地上に居たKAGUMA-1359に命中する。


 眩いそれは、付近に居る登場人物達の頬を濡らした。



 しばらくして、KAGUMA-1359の攻撃が途絶えた。


 中心核(コア)が分厚い蔓の膜諸共砕け散った。


 核を失ったカグマの個体は、やがて塵となり、消えて行った。



「‥バイバーイ。」


 フゥンッ‥


「メ、メリィ~!」


 少年が引き留めるも叶わず、メリーは空間魔法のような不思議な能力でその場を去った。


「おのれぇ、今度会ったら必ず後悔させてやるからなぁ!」


 ローレンはそう言うと、どこかへ行ってしまった。



 地上にはまた一つ、カグマの脅威が消えた。


 木庭は、カグマとの戦いに勝利した。


 しかし、一度荒廃した葉祇音街の平和な街並みは、当分元に戻ることはないだろう。



 木庭は手に持っていた灼狩ノ剣を結晶に変え、体内に取り込んだ。


 その後疲れた表情で、木庭は地上に降り立った。



 ガチャッガチャッ‥チャ‥


「!?」


 しかし、木庭に向けられた眼差しは、実に冷ややかなものだった。


 木庭は駆け付けた複数のヴァリアント・ハンター達に、銃を向けられた。



「ま、待ってください!彼は…。」


 複数の黒い鎧スーツを纏った、ヴァリアント・ハンター達に囲まれた木庭。


 目の前の光景に動揺しながらも、鎖渾は他のヴァリアント・ハンター達に理解を求めようとした。


 ガシッ!


「事情を話してもらおうか?」


「鎖渾…。」


 鎖渾は左肩をシャウロに掴まれた。



(‥どうしよう。)


(このままじゃ、木庭は…。)


(――――――殺される…。)



(そんなの、耐えられない…。)


 銃を向けられた木庭を見て、鎖渾は思った。


(全員引き金に指を掛けている。)


(カグマを確実に討つために造られたライフル型銃剣BCK《ブラック・カオス・キラー》-08。)


(木庭が撃ち殺されるのも時間の問題…。)


(木庭だけでも、せめて―――――――。)



「何をボーっと突っ立っている?」


 シャウロは動こうとしない鎖渾に声を掛けた。


 鎖渾は尚も、木庭を見つめていた。


(ちょっと強引かも知れないけど、木庭を救うには…。)


 ギュ‥


 鎖渾は胸にある紺碧のペンダントを握り、目を瞑った。


 心の目で、意識を木庭の近くに停めてあった黒い大型バイクに向ける。



 普段は人の手が掛からなければ動かないバイク‥。


(お願い、木庭を助けて。)



 鎖渾が念じると、誰も居ないバイクにエンジンが掛かった。


 バイクは揺らめきながら、木庭が居る地点に向かって加速する。


 ブロォオオオオオオン…


「なっ、バイクが勝手にっ!」


「轢かれるぞー!」


 ヴァリアント・ハンター達は木庭が居る地点から離れた。


 バイクは木庭に向かって突進する。


 その瞬間、鎖渾は目を一気に見開いた。


 紺碧の瞳が煌く。



「うわっ!?」


 木庭の身体はまるで磁石のように、バイクにくっ付いた。


 そのままバイクごと、木庭はどこかに走り去られていく。


「‥う、撃てっ!」


 ズギューン!


 ズギュギューン!


 数人のヴァリアント・ハンター達が木庭に向かって銃を撃ち放った。


 鎖渾は意識を集中させ、銃撃をかわす‥‥。



 パシっ!


 シャウロはいきなり、ペンダントを握る鎖渾の右手を引っ張った。


 ブチッ!。


 同時にペンダントのひもが切れた。


 意識がトランス状態の鎖渾に強制的に戻される。


「あっ!?」



 ズギュギューン!


 ヴィシシッ!


「くっ‥。」


 複数の銃弾が木庭の左足と右脇腹に命中した。


 ズボンから血が滲む。



 ドスッ‥!


「うっ。」


 同じ頃、鎖渾はシャウロから腹部を拳で一発殴られた。


 その後、鎖渾は気絶。


 同時に鎖渾が握っていた紺碧のペンダントが手から離れた。



「リーダー、カグマの姿を見失いました。」


 部下の一人がシャウロに報告する。


「‥探せ。」


 シャウロは鎖渾を抱え、背を向けながら言った。


「奴をみつけたら、その場で射殺しろ――――――――。」


「し、しかし…。」


「これは、俺の命令じゃない。」


 シャウロは横目で部下達を見ながら告げる。


「―――――――“神”の命令だ。」


「‥以上。」


 シャウロはその後、自分が乗って来たであろう巨大な飛行船の中に入って行った。


「承知。」


 部下達もまた、それぞれが乗って来たバイクに跨り、木庭の行方を追跡し始めた。



 ‥こうして鎖渾は、シャウロ率いるヴァリアント・ハンター本部に引き戻されてしまった。

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