第41話 修復

「それが、オレや、イズルたちの製造理由か…。てっきり軍事的な理由だと思い込んでいたよ。」

レイは手を額に当てる。

「それは後付けです。たまたま軍事に有用な能力があなたたちについたというだけ。欲しかったのは…脳です。」

アマネは苦しげに言う。

「権力を求めた彼らは、自分の脳では耐えきれないことと恐怖に怯え…。ある種、王族に都合の悪かったイズル様たちを殺し、器にすることを考えました。…これも姫の技術なのですがね。」

「そりゃ、ひとたまりも無かっただろーよ。もともと戦闘力の高い連中ではない。」

「はい…。しかし、それは失敗に終わりました。誰一人として姫の記憶は発現せず、それどころか奇妙な能力ばかりが芽生え、イズル様のカリスマのみ、復活しました。」

「あげく、逃亡、と。」

レイは皮肉気に笑う。

「とことん王族の思い通りになりたく無いらしいな。」

前にアルを経由して渡された伝承、そこに記されたものと似通っていた。

「どの道、言葉を選ばなければ失敗作であった彼ら…。それで、生み出されたのがレイ、あなたです。」

「全ての欲と、過去を持たず、王族の血を流した、ってことか。」

アマネは小さく頷く。

「その通りです…。結果は言うまでもございませんね。」

「ああ。オレに姫の記憶はまったくもってない。」

レイが同意したのを確認して、アマネは話を続ける。

「二度の失敗を経て、この計画は凍結されたように思われていました。しかし、成果がなかったわけではありません。その一つがシズル様です。」

「…シズル?」

「シズル様は、二度の死により、記憶を取り戻しました。…死を目前にすれば、あなたの場合過去ではなく姫の記憶を取り戻す可能性がありましたが…見たところその様子はなさそうですしね。私の養父は、それを踏まえ、私の血を幼い頃に取り込んだ、実の娘であるアムを、使うことにしました。」

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