第27話 優雅な嘘
王宮のことは、知らないわけではない。
車椅子は放棄した。イズルを乗せることが、当人以外で満場一致だったのだが、本人が頑なに拒み、受け入れなかったのだ。
ルカたちといったん分かれ、二人で王宮の入り口に向かっていく。ティアの話だと、王都に入ってしまえば、さほど厳しい体制はしいていないということだ。
その言葉の通り、最初と違う二人なのに、とがめられることはなかった。
「第二院の招きで来ました、レンです。」
「お初にお目にかかります、妹のリコです。」
王宮の入り口で堂々と偽の身分を優雅に名乗る。レイが腰に差した刀は多少見とがめれらたが、家に代々伝わったものであり、飾り剣だ、と嘘八百を並べて突破した。今のひ弱な少女の見た目のレイには武器として使いこなせるようには見えなかったのだろう。通過はそう難しくはなかった。
「…マスカレード?」
その検査のあと、渡された仮面をまじまじと見つめながらイズルがつぶやく。
「大方、私たちみたいな若者の口をおおそれになられたんでしょう…。じゃなきゃさっきその剣が家に伝わるものだって言った時点でアウトだったはずですから。でも、都合はいいですわ。それにお二人に会いに行かなくとも、形式上は不思議には思われませんわ。」
レイは仮面を装着しながらそう返す。
「兄様、彼らの準備が出来次第、次に進みます。お教えください。」
「ああ、わかったよ。リコ。」
「それまでは…。適当に子女のふりをいたしましょう。」
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