第14話 計画

「どういうことだよ?」

「僕は唯一の取り柄の特化能力でね。あっちこっちに耳を澄ましているんだよ。…もともと僕は偵察のために作られたからね。…もちろん、この能力を持っている僕がここにいることはしれているから、信憑性はないかもしれない。」

レイはイラついたように

「御託はいいんだよ。何が聞こえたんだ?」

「近々祭りがあるだろう?」

「ああ、あのどんちゃん騒ぎ。」

「王宮に入るなら、確実にその日だ。」

レイは怪訝そうに

「その日は警備がくそみたいに厳しくなる日だろう?終わって気の緩んでいるときが妥当じゃないのか?」

「普通に考えればな。祭りの日なんて愚の骨頂。だが、お前の場合は別だ。」

「どういうことだ?」

「祭りと言ってもそこは政治の場だ。いつもより人が増える。警備対象が増えるわけだ。」

「…それで?」

「生半可な警備を付けるわけにはいかない、そうしたら誰が護衛につくと思う?」

レイは冷たい目で

「オレたちと同じ…。つまりはイズルの世代か。」

イズルは笑顔で

「そういうこと。そして王都のほうに機械音が激しい。おそらく機械警備を導入するんだろう。お前の場合、人より機械のほうが簡単だろう?…この間のお嬢さんを使え。お嬢さんたちも嫌とは言わないだろうし、言わせないだろう?よかったな。人助けが役に立って。」

レイは嫌そうに

「もともと人助けじゃなくて、何かに使うために助けたんだからな。」

イズルは兄のように笑う。

「矛盾してるぞ。レイ。…できるのならこの間のお嬢さんたちに連絡を取っておけ。…どうせ、通信機の一台や二台かっぱらってきたんだろう?」

イズルはレイの懐を指さす。レイは懐から小さな機械を取り出す。

「ご名答。姫さんより、アマネのほうが話が通じるし、賢いから様子を見て連絡しておくよ。」

「ご機嫌だな、レイ。」

「当たり前だ。やっと運命をぶち壊す機会が目の前に迫ってきたんだからな。」

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