第6話 箱庭の中で

「お姉様。」

アムが邸宅に戻った翌朝、さっそく彼女は姉に尋ねていた。

「何かしら?」

「長い銀髪に美しすぎる顔を持つレイという名の耳飾りを持つ人物…。それに高い身体能力、知ってらっしゃいますか?」

問われた姉は目を見開いて

「驚いた。なんであんたが血塗れの天使を知ってるの?まさか、あんた。昨日…。」

アムは疲れた様子で

「お説教はもう結構よ。散々叱られたわ。…そんな遠くまで行く気はなかったのよ。ただ何かに誘われて…。」

「言い訳ももういいわ。行くなと言っても行くんだろうから止めないけれど、一人ではいかないでね。」

アムはにこりとも笑わず、話をそらそうとする。

「もう多分行かないわ…。それよりお姉様、血塗れの天使っていったい?」

姉は諦めたように

「見に行く?アム、あなたがここにレイと来たなら見れるはずよ。あまりあなたに見せたいものでもないし、趣味のいいものでもないけれど…。あまりに美しくて、圧倒的な暴力だから。」

「どういうことなの…?」

「あなたもその片鱗を昨日見たんじゃないのかしら?レイのことは前から知っているけれど、ひきつける魅力は破壊的よ。」

そう言って使いを呼び二言三言言葉を交わす。

「そう…やはり。」

姉は、アムのほうに向きなおっていく。

「あなたが、レイことを知りたいなら連れていく。皮肉なことに、私たちの立場なら…でも、そこで見れるのは綺麗なものではない。見た後のあなたがどうなるかはわからないわ…。それでも行く?」

「…行く。」

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