第4話 まちの境目

急にレイは足を止める。

「何?」

「イルマ、いるんだろう。足をよこせ。」

イルマと呼ばれた少女が闇から姿を現す。

「予想通り気づいていたのか、レイ。なんかお嬢さんがいるから遠慮してやったのに。…お嬢さん、馬は乗れるかい?」

イルマと呼ばれた少女はアムに問いかける。レイは基本的にアムにはしゃべらせたくないようだ。アムが答える前に、レイが答える。

「乗ったことあるだろう。お嬢なんだから。最もそんなにいい馬じゃないがな。」

レイの悪態にイルマは笑って対応する。

「レイ。お前には特別にただで貸してやってるんだから文句を言うな。普通なら金貨の一枚くらい要求してるぞ。」

「オレが王都に行けば、その分お前が潤うんだからいいだろ。」

「ふざけるな、と言いたいところだが、お前は本当にそれだけの経済を動かすから始末が悪い…。大体なんで急に王都に。お前あれだけ面倒がってたじゃねえか。」

レイは呆れた様子で

「死ぬほど面倒だが、いいネタが入ったんでな。ついでに稼いでくる。」

「そりゃあいい。こっちにも金が入る。お嬢さん、初めまして、イルマだ。ここは

王都とは程遠いが、割とましな暮らしをしてるほうだ。」

「初めまして。私はア…。」

アムが名乗ろうとするとまたも遮られる。

「辞めといてくれ。何か嫌な予感がする。」

「賢明な判断だ、イルマ。こいつの名前は聞かないほうがいい。…早く馬をよこせ。」

「ハイハイ。こちらに。」

イルマはいざなった先には馬がいた。

「好きな奴を連れていくといい。」

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