第4話 まちの境目
急にレイは足を止める。
「何?」
「イルマ、いるんだろう。足をよこせ。」
イルマと呼ばれた少女が闇から姿を現す。
「予想通り気づいていたのか、レイ。なんかお嬢さんがいるから遠慮してやったのに。…お嬢さん、馬は乗れるかい?」
イルマと呼ばれた少女はアムに問いかける。レイは基本的にアムにはしゃべらせたくないようだ。アムが答える前に、レイが答える。
「乗ったことあるだろう。お嬢なんだから。最もそんなにいい馬じゃないがな。」
レイの悪態にイルマは笑って対応する。
「レイ。お前には特別にただで貸してやってるんだから文句を言うな。普通なら金貨の一枚くらい要求してるぞ。」
「オレが王都に行けば、その分お前が潤うんだからいいだろ。」
「ふざけるな、と言いたいところだが、お前は本当にそれだけの経済を動かすから始末が悪い…。大体なんで急に王都に。お前あれだけ面倒がってたじゃねえか。」
レイは呆れた様子で
「死ぬほど面倒だが、いいネタが入ったんでな。ついでに稼いでくる。」
「そりゃあいい。こっちにも金が入る。お嬢さん、初めまして、イルマだ。ここは
王都とは程遠いが、割とましな暮らしをしてるほうだ。」
「初めまして。私はア…。」
アムが名乗ろうとするとまたも遮られる。
「辞めといてくれ。何か嫌な予感がする。」
「賢明な判断だ、イルマ。こいつの名前は聞かないほうがいい。…早く馬をよこせ。」
「ハイハイ。こちらに。」
イルマはいざなった先には馬がいた。
「好きな奴を連れていくといい。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます