第6話 それを愛と呼ぶとしよう 4
彼は、'井坂です'と自己紹介してくれた。わたしと友達が文化祭にたまたま立ち寄った鷹井高校の3年生。受験はあるけれども3年生でも文化祭は手を抜かないのだという。
井坂くんとその場にいた鷹井高校の生徒たちと5分ほど立ち話をした。ちなみに、ミッシェルガン・エレファントが好きな彼は、柿沼くん、と言った。
井坂くんは、ファイティングマンを聴いて衝撃を受けたと言ってた。わたしもつられて、今宵の月のようにを聴いた時、泣きそうになった、と話した。でも、それは嘘。本当は泣いてしまったのだ。わたしと井坂くんのやり取りに一番驚いていたのは一緒に来たわたしの友達。
「エレカシ、って、髪の毛をガシガシする人でしょ。ああいうのが好きだったんだ」
宮本が髪の毛をガシガシするのは本当のことなので特に何も言えない。
「何でミッシェルガン・エレファントも知ってるの?」
柿沼くんの問に対し、'ネットでエレカシを検索するとき、エレファントのワードで引っかかってきたから'と、申し訳な思いで答えた。
井坂くんたちと一緒にいた女子生徒がわたしたちの制服がどこのか知っていたらしく、「三波高校?」と訊いてきた。2人して、はい、と答えた。特にその場にいた皆でメアドを交換したりはしなかった。
自己紹介だけして、別れた。
「白峰です。3年生です」
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