第二話 死にそうだけど死なない!

 アズガント様曰く死なないらしいから、どのくらい死なないのか、確かめてみることにした。

 幸い部下達が生き残っていたので、城の外に集める。

 彼等は快く承諾してすぐに集合してくれた。


「何の用だよ……」

「手短に頼むぜまったく」

「めんどくせーなぁ」


 だから聞こえてるよ!

 お願いだからそういうのは、もう少し小さい声か心の中でお願いします!


 まずは物理攻撃からいってみよう。

 万が一の為に、回復魔法が使える闇の司祭にも来てもらったから安心だ。


「よし、それじゃあ全員で俺を攻撃してみてく――」

「おらぁ!」

「死ねぇぇ!」

「ちょ、待っ……!」


 部下達は容赦なく剣や槍で俺を攻撃し始めた。

 君達気が早いね。俺まだ最後まで言ってないよ。

 後、割と本気で攻撃仕掛けてきてるね。

 もしも俺が死んだらどうするんだ。

 四天王一人いなくなっちゃうんだよ?


「こいつを殺して俺が四天王に!」

「いや、四天王の座は俺が戴く!」


 あ、殺す気満々だったのね。

 君達の気持ちがよくわかって俺は嬉しいよ。


 それはそうと、すごく痛い!

 いや、これは本当に死んでしまうんじゃないかってくらい痛い!

 彼等は本気で殺しにかかってきてるけど、マジで死ぬかも。


「ストップ! ストップ!」

「ちっ!」


 体中傷だらけで死にそうだ。

 魔族でも、これだけ傷を作って血を流せば死んでしまう。

 でも俺は生きていた。

 傷はゆっくりではあるが、徐々に再生していってる。

 おお、本当に死なないのか!?

 それと、舌打ちもしっかり聞こえてるからね!


 次は魔法による実験にした。

 魔法の種類によっては体が爆散してしまうが、この際だからそれも検証してみよう。


「さぁ、来い!」


 俺の合図で一斉に、炎やら氷やら水やら雷やら土やらが飛んでくる。

 すごく避けたいけど、それじゃあ実験にならないから、石像のようにその場でじっと耐え抜く。 


 灼熱の太陽に焼かれる……とかそんな生ぬるいものじゃない! 焦げてる、体焦げてるよ! これ死ぬよ! しかも服が全焼だよ! 


 そこから今度はひんやり涼しい氷の魔法が……ああ、熱かった体が癒されて……いや無理! 裸に氷とかどんな罰ゲームなの! 寒いよ、寒すぎてアレが縮こまっちゃったよ! 凍死の瞬間ってこんなのかって感心するくらい寒い、死ぬ!


 お次は水の魔法だ! 冷えた体に、水がなんだかお湯に感じる。これは良い、良いけどさ、水の塊を、執拗に顔に使ってきてるのは絶対わざとだよね!? 水の魔法ってこうやって使うんだね勉強になったよ。あ、もう息ができないガボガボガボ。


 そして来ました雷です! 体が水の魔法で、びしょびしょだから電気が良く通る! 静電気のパチッとか可愛いもんだよね! 普通に食らっても死んでしまいそうだけど、いま五倍くらい死にそうだよ!


 最後はボロボロになったところに土の魔法だ。もう完璧に死体埋める体だよね。俺まだ死んでないけど、なんで穴があって、そこに埋めるように土の魔法が来るのかなぁ!? あぁ……視界と暗くなっていく。

 同時に意識も遠ざかってきた……やっぱり死ぬんじゃないのか?

 そこでプツンと意識が途絶えた。

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