狂戦士②


 レンブランの言葉に、カランカの瞳が赤く染まり剣の持ち手に力が篭る!


 「わぁぁぁぁ! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! 多分、きっと! 悪気はなっ無いと思いますぅぅぅ!!!」


 今にも突き刺さんとするカランカの大検に、俺はレンブランの頭を赤ん坊ごと抱き寄せ平謝る! 


 「もごもごう"も"も"も"? う"も"(頭に詰まってるのは筋肉なんじゃないの? 低脳)」


 「斬る」


 「何言ってんの!? 馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 すがるような気持ちでリーフベルの方を見ると、涙溜めながら鼻吹いてた…この腐女子め!!

 

 「カランカ、今は狂戦士に集中するれちよ」


 殺気を撒き散らすカランカを諌めたのは、綿毛のようなふあふあの髪の幼じょ…幼児だった。


 確か、名前は…?


 「改めまちて名前を…女神様より『魔力の鍵』を仰せ付かった魔道士:メイヤともうちまち」


 幼児…メイヤは、ふわりと頭を下げた。

 

 おおお、妖精さんだぁ~。


 メイヤその見た目は、ファンタジー御用達の妖精そのもので背中に羽が生えてれば完璧だったろう。


 レンブランが俺の腕をパシパシ叩く。


 おっと、腕で鼻と口がうまってたな!


 「けほっ! ボクは______」


 「知ってまち、レンブラン・ガルガレイ______なかなか…いえ驚かされたれち! あの蓄積されてた膨大な研究資料、ありを作るには通常設備の整った中央でも何十年もの月日が必要れち! そりを村から一歩も出ずどうやっ」

 

 「言いたいことはそれだけ? 本題に入ったら?」


 レンブランが、メイヤの言葉をさえぎる。


 「ま、ガリィがそんなに待ってくれるとは思えないけどね?」


 あ、レンブランの妹! 空気になってた!?


 「ぐるるるるるるるるるるるるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 空気扱いが気に入らなかったのか、レンブランの妹:ガリィちゃんは自分の肩を抱き呻る!


 きつく抱きしめた自分の滑らかな白い肩口に、爪が食い込みぶつぶつと穴が開く!


 それと同時に体中にバチバチと無数の小さな稲妻が流れ、次の瞬間辺りが真っ白に染まる!


 「っく! 押さえ切れ無い!!!」


 パキィィン!


 ガラスの割れるような音がしリーフベルが弾き飛ばされてた途端、激しい衝撃が俺たちを襲う!


 「がぁっ!」


 メイヤが、がくりと膝を着き苦痛に顔を歪めカランカに至っては剣を地面に刺し立つことさえままならない!


 そんな中で、風が強くて目ぇ開けにくいけど…俺平気!


 この二人と、モロになんか食らって痙攣してるリーフベルとかマジどうしたの? 


 てか、俺が凄い?


 光と衝撃が過ぎ去り、そこに残ったのは更に木々の吹き飛んだ赤茶けた大地と満身創痍の女達に無傷な俺達そして。


 呻る全裸のガリィちゃん。


 何故だ?


 全裸のけも耳ニャんコなんて鼻血もんなのにやっぱエロスを感じない…まさか俺マジで不能に…!


 「コージ、人の妹の全裸を凝視しないでくれる?」


 レンブランが不機嫌そうに呻る。


 「あ、ごめん」


 でも、たわわに実った形良い実りから目が離せないのは男の性ですよお兄さん。


 「で、どうすんだ? あれ? つか、何で怒ってんの? 兄妹喧嘩?」


 ガリィちゃんは、放電しながら血走った目で此方を見ている。


 刺客達が倒れたとして、殺る気満々のガリィちゃん。


 ピンチが回避された訳ではない!


 「コージ、君に頼みがある…と言うか君にしか出来ない事なんだけど…」


 「うん、すげぇやな予感! 断る!」


 「拒否=死在るのみだよ」


 あコレ、始めから拒否権は無いパターン?


 「ボクの妹、ガラリア・ガルガレイは『狂戦士バーサーカー』だ」


 意を決したようにレンブランが俺に言った。


 『狂戦士バーサーカー』と聞いて、俺の脳裏に浮かんだのはRPGゲームによくあるバーサーク状態『コントロール不能になってひたすら攻撃ばかり繰り返す状態異常』それが目の前で…ヤバイよヤバイよマジで言ってんの!?


 アレって、敵味方関係ないよね!?


「10年前、村に大量の魔物が襲って来てね…目の前で両親を殺された…それを見た4歳だったガリィが『狂戦士』に覚醒して一瞬で全滅させた」


 ガリィちゃん凄い、最強の幼稚園児じゃん!


 「…けれど」


 レンブランの曇った顔に俺は、察する。

 

 「まさか…」


 「ガリィは追放され、この森に封印された魔物よりも危険って事でね」


 「4歳でこんな森に一人!? ひ ひでぇな!」


 やっぱ、言いだしっぺはあの村長のクソババァか?


 「僕はありとあらゆる手段を検討し、森の結界を突破しようとしたけど現実的な方法が見つからなかった…そんな時現れたのが君だよコージ!」


 「おっ、俺!?」


 「そうさ! どんな原理かは知らないけど、君には魔力…と言うか物理な力以外全てのエネルギーの影響を受けない! それどころか、魔方陣や結界と言った予め張られていた物さえ消し去る!」


 俺は、この森に来た時砕けたガラスのような物を思い出した。


 そう、アレはまるでこの森全体を覆うように…んう?



 「なぁ、レンブラン」


 「なに?」


 「もしかして、俺のこと騙した?」


 レンブランは、真っ直ぐ俺の目を見た。


 「結果的にはそうなった、ごめん」


 うえええええええ~まじかよぉぉぉぉぉ!!!!!


 って事は、この森に比嘉はいないって事だ! 


 「聞いて! 結果っ的にこうなってしまったと言うだけでコージの言ってた村の近くの森って此処しか無いのは事実だよ!」


 あからさまに落胆する俺に、レンブランは悪びれも無く言い放つ!


 え、マジで!?


 …でも、騙した事に変わりないじゃんか~!


 「という訳で、まずボクのお願い聞いてくれる? 終わったら君の仲間を探すよ! 約束だ!」


 『お願い』つーか『脅し』じゃねーか?


 拒否すれば死ぬし、逃げた所で俺一人では生き残れない…選択肢など始めからねぇわ!


 「……何すれば良いだんよ?」

 「そうだね、まず_____」


 「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 動きを止めていたガリィちゃんが、再び雄叫びを上げその体に電流が走る!


 「コレ!」


 慌てたレンブランが、俺の手になんだか首輪のようなモノを握らせ変わりに腕から赤ん坊を引き取った。


 「何とかして、ガリィの首にそれ付けて!」


 そう言い放つと、レンブランは赤ん坊を連れその場から走り去った!


 「は?」


 え?


 何ソレ?


 もしかして指示は以上ですか? レンブラン将軍!?


 「死なない程度の怪我ならボクが治療するから! がんばって!!!」


 「頑張れじゃねーよ!! 自分の妹だろ! 俺に丸投げか________」


 トン。


 え?


 背中に、手で軽く押されるような感触。


 次の瞬間、レンブランが何故全力で逃げたのか理解した。


 バチン!


 「うぴゃ!」


 冬場のドアノブに触った時の静電気の10倍くらいの衝撃が、背中から全身に突き抜ける!


 変な声が出た…自己嫌悪!!!


 「うひょぉぉおおお!? 何すんの!? 何すんの!? マジびくっるて! カンベンしてよガリィちゃん!!!!」


  俺は、ビリビリする背中を掻き毟りながら後ろを振り向く。


 そこには、血走った目の全裸少女が逆立った金髪を振り乱し殺気の篭った目で俺を見る。


 嗚呼、きっと●ーパーサイ●●人の女子バージョンってあったらこんな感じだろうな…なんてどうでも良い事が脳裏に去来する。


 自分の攻撃に、ダメージを殆んど受けない様子の相手にガリィちゃんは少し警戒したのか自分からは仕掛けて来ないつもりらしい。


 さて、どうしたモンかねぇ…って!

 黄色い閃光が、岩を砕く!


 「うきゃー!! マジ止めて! ばちっってすんの嫌なんだよ!!!!」






                              

               ◆◆◆



 信じられない…!


 目の前の光景は、ボクの予想を遥かに凌駕する物だった。


 ガリィに追われ逃げ惑うコージ。


 連発される雷撃は逸れる事無く全てクリーンヒットしている。


 普通なら死んでるが、コージはそれを物ともせず『あべし!』とか『ぶべらっ!』など妙な叫び声を上げながら隠れる所さえ無い大地を闇雲に駆けずりまわってた。


 「狂戦士の雷撃を食らってるのに…なんであんなに元気がいんだ? ホント何者なんだい?」


 地面に体を横たえ、動くことすら出来ない『大剣の鍵』は呻くように問う。



 「さあね? それは、ボクも知りたい」


 ボクの答えに、はぐらかされたと思ったのかカランカは眉間に皺をよせ恨めしそうに睨みつけて来た。


 本当に知らないんだから、そんな目で見られても困るなぁ~。


 ボクは、おもむろに剣士カランカの足を掴む。


 「な! 何するんだい!?」


 「何って…取り合えず移動させるんだけど? こんな所にいたら巻き添え食らうよ? コージはともかくあんなの食らったらボク等じゃ一瞬であの世往きだからね」


 ボクは、抱いてた勇者をカランカの腹に乗せ両足を掴んでズルズル引きずった。


 「あいたっ! ちょ! もう少しましな方法無いのかい!?」


 「コレが最善策! ほら『勇者様』が落ちそうだよ? 支えたら?」


 ボクの言葉に背中と後頭部を地面に削られながらも、腹に乗せた『勇者様』を必死で支えるカランカの姿はなんとも滑稽だ。


  相変わらす謎の悲鳴を上げるコージから少し離れたところの、地面にポッカリ開いた手ごろな穴にボクは勇者ごとカランカを投げ入れた!



 「ちょ!! ぎゃ!!」

 「カランカ!?」

 「勇者!!!?」


 突然、勇者を抱いて降って来た仲間に先に放り込んでおいたリーフベルとメイヤが驚愕を隠せない。


 「あんしゃん! なんのつもりでち!!」


 メイヤが、穴の縁から覗くボクに、鋭い眼光を飛ばす。


 「君たちを助けてあげる、その代わりガリィに…ボクの妹に手をだすな!」


 穴の中で身動きの取れない三人は、言葉を失った。


 少しの沈黙が流れ、メイヤが徐に口を開く。


 「そうでちたか…でちが、そりは無理な相談れち!」


 「レンブランさん! お気持ちは察します…しかし狂戦士は危険な存在…諦めて下さい!」


 メイヤの言葉にリーフベルも続く中、カランカだけは勇者を抱いたまま険しい表情を浮かべていた。


 「狂戦士が、どういう存在かあんしゃんなら分かるはずれち!」


 ああ、そうだね知ってる。


 『狂戦士』別名『バーサーカー』とは、神とやらの神通力をうけた戦士で自分自身に神の力を宿し戦うがコントロールは不可能で忘我状態となり、鬼神の如く戦うがそこに魔物は愚か生ける者全てが滅び去るという。


 つまり、目に付くもの全てを殺しつくす『化け物』…一度それが暴走すれば止める事等出来ない。


 だから、君達が殺しに来たんだろ?


 目の前で両親を殺され、僅か4歳で"『狂戦士』に目覚めたボクの妹。


 村を救ったにも関らず、恐れられ当時最も高い魔力を持った僧侶によって永遠に解けない結界の張られたこの森に封印されたボクの可愛い妹。


 「ふふふ…あはははは」


 突然笑い出したボクに穴の中三人が、引きつった表情を浮かべる。


 何も知らない愚かな女神の下僕達!

 君等にボクの気持ちが分かるかい?


 ああ、ボクは今まで神など信じてなかったけど今なら信じることが出来る! コレは奇跡なんだ!

 

 この止まった世界が、ついに動き出す…!


 嗚呼、コージ!


 ボクの希望…世界にとって君はきっと絶望なのだろう。


 だが、それがどうした! 


 世界がどうなったって構わない!


『今度こそ』ボクは妹を助ける!



 もう、死なせなどしない!





 

               ◆◆◆



 バチィッ!!


 「ぎゃぴぃ!?」


 もう、何度目か分からない背中から突き抜ける強力な静電気に又しても微妙な叫び声が口から漏れた!


 恥ずかしい!

 死のう!


 「ぐるるるるるるるる…!!!」


 逃げ惑う俺に、ガリィちゃんの雷撃は容赦なくぶち当たる!!


 「もう! 勘弁してよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 つーか! レンブラン! 俺に丸投げとか酷すぎるっしょ!!


 先ほどの大爆発により、更に木々の一掃された赤茶けた大地に身を隠せそうな物など在るはすも無く俺は遠くに見える木々茂る場所目指してひたすら走る!


 こんな的になるような場所に居るよりマシだ!


 幸いガリィちゃんは、攻撃の効かない俺に警戒しているのか決定的な止めを指すような事はしてこない!


 とにかく、身を隠さないと…!


 ガッ!


 「いっ!?」


 地面から飛び出していた木の根に足を取られ、俺は派手にすっ転ぶ。


 「いでぇ~! あっ、足が…!」


 何という事でしょう!



 敵に追われてる最中にすっ転び足首捻挫のよくいる定番ドジッ子な俺ーーーーーーオワタ\(^o^)/


 倒れこむ俺の眼前に、稲妻を纏ったガリィちゃんが迫る!


 嗚呼…こんな時にすら形良い二つの揺れる果実から目が離せないなんて…コレが最後の光景になるとは!


 14年、いい人生だった…って!


 っんな訳ぬぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇえぇぇ!!!!!?????

 

 いや! 死ねないからね! まだ、ヤりたい事あるんです!


 エロ事もそーだけどさっ、いってみたい所…秋葉とか秋葉なんだけども!


 今度のゴールデンウィークにはマンガ同好会の皆で行こうと思ってたんだよ!


 聖地で生メイドとか、見たいじゃん!


 PCパーツとか、マンガ・ゲームとか漁りたいじゃん!


 それに、霧香さんと比嘉を見つけなきゃだし! 


 今はなんと言っても、目の前で雷撃の準備に入った全裸Bカップ…もとい!


 レンブランの妹。


 ガリィちゃんを助けなくてはならない…!


 「ちょ!! タンマ! 話せば分かる!!」


 地面にけつまずき、情けなくズリズリと後退する俺の胸に突きつけられる掌!


 「マジやめ…っつ! あばばばばばばばばばばばばばばばば!!!!」


 ビリビリと電撃が体を駆けるが、耐えられない程のモノじゃない!


 「ヴァ…ファイト~俺~…」


 俺は、痺れる右手で胸に置かれた電撃発生現であるガリィちゃん腕を掴んだ!


 「!!!?」


 その瞬間、ぴたりと電撃が止み逆立っていた金色の髪がふぁさりと揺れ血走った瞳が驚愕の色を浮かべる!


 え~っと、どうしよう…ハッキリ言ってノープランですよぉぉぉぉぉ!



 沈黙する、俺とガリィちゃん。


 すると突然、ガリィちゃんの背後からふとましい腕が伸びがっちりと体を拘束する!


 「コージ!! 今だ!」


 「っ…おおお!!!」


 俺は、ガリィちゃんの腕を握ったまま胸からずらし体制をくずした隙にその白い首にレンブランに渡された銀色の鎖で出来た首輪のような物をかける!


 ガチッ!


 首に掛かると、鎖の端と端がはまるで生き物のように同化した。


 「ぎゃううぅぅぅぅ!?」


 鎖が首に掛かった途端、ガリィちゃんは地面に倒れちじこまるように体を丸め苦しそうにガタガタと震える。


 「うお!? 何で!?」


 「…これが、最善策なんだ…」


 レンブランは、苦しむ妹の傍に跪き背中をそっとさすった。


 「最善って…こんなに苦しそうなのにか!?」


 レンブランは、俺の抗議に耳を貸さずリュックの中からピンクのブランケットを引っ張り出し全裸のガリィちゃんを包む。


 「コージ、事情は後で説明する…今はここから______」


 「行かせないよ!」


 背後からする、聞き覚えのある声に俺とレンブランは顔を上げた。


 「…こんな事なら足ぐらいへし折っといた方が良かったかな?」


 冷たく言い放つレンブランの視線の先には、慢心相違ながらもリーフベル、メイヤ、カランカの姿そして。


 「うに"ゃぁぁぁぁぁぁ!!! うぎゃぁぁぁぁぁん!!」


 カランカに抱かれ、必死に俺のほうに手を伸ばし泣き叫ぶ赤ん坊_______って!


 「何で、赤ん坊があっちにいるんだよ!? テメッ! こっち向けコラ!!」


 「だって、ボクあの子嫌いなんだ」


 ガリィちゃんを抱き上げたまま、プイッっとそっぽ向くレンブラン。


 「はあぁぁぁぁぁぁぁ!? 理由になってねーよ!! 何なの!? 乳児相手になにやってんの? てーか、あの女どもは乳児を窓も無いような場所に詰め込むような鬼畜ですよ!? 渡してんじゃねーよ!!」


 「赤ん坊ってのは一体何のことだい?」


 泣き叫ぶ赤ん坊を抱いたカランカが、さも意味が分からないと言う表情で俺に問う。


 はぁ? 頭大丈夫か?


 「ヘイ! ベイビー? ユーが逞しいお胸に抱いてるのはなんですか?」


 「『勇者』だ」


 カランカは、即座に返答した…あれ?


 「うん、だから赤ん坊だろ?」


 「コレは、『勇者』だ」


 カランカは眉を潜め…いや、カランカだけじゃないリーフベルやメイヤも全く同じ『コイツは何を言っているんだ?』って表情を浮かべる。


 え? 何? なんか俺、間違った事言った?


 「コージ…君、本当にアレが赤ん坊だって思ってたの?」


 やや後方にたっていたレンブランから、耳を疑うような言葉が漏れた!


 「は?」


 呆気にとられる俺を見たレンブランは、『ああ…そうか、記憶が…』と呟く。


 「…よく聞いて、確かにアレはコージと同じ種族の形状を取っているけど本質は全く別物だよ…状態はかなり不完全だけどね」


「ごめん! イミフ! 説明キボンヌ!!!!」


 「何ソレ? 故郷の言葉? 共通語で喋ってくれないと分からないよ?」


 「いい加減にするれち!! 『ライトニングアロー』!!!」


 痺れを切らせたメイヤが、何やら光の矢のようなモノを放つ!


 「うお!?」


  が、やはりソレは俺の眼前で飛散した。


 「くっ! 原理は分からんれちが、大した能力れちね…でも、狂戦士はこの場で殺すれち! そりは世界の為ひいては勇者の糧の為…死ぬれち!!」


 幼稚園児が、物騒なこと言ってるーーーーーーーーーーー!!!



 「今は引くよコージ!」


 「けど!!」


 カランカに抱かれた赤ん坊が、手足を無茶苦茶に動かし泣き叫びながら俺を見る。



 …ダメだ! 置いてけねぇよ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る