第4話「男子ふたりの決意」
タバサの『一喝事件』はあったが……
カミングアウトした俺はレオ、イーサンと男同士いろいろぶっちゃけ話が出来るようになり……
ふたりの要望もあって親子3人男同士で旅行へ行く事となった。
ふと昔、俺と従士ケルベロス、ジャン、ベイヤールの4人で旅した事を思い出す。
前世でもそうだったし、いつも思うのだが……
旅行は行った時は勿論、計画を立てる時も面白い。
俺は転移魔法を使えるし、飛翔魔法も行使出来る。
「合わせ技で、目的地はどこでもOK」だと告げたら、レオとイーサンは嬉しそうに目をキラキラ輝かせていた。
だが旅行の了解を得た時、ふたりの母親クーガーとレベッカを含む嫁ズからは、危険な場所は絶対にNGだとしっかり釘を刺されてしまった。
まあ、嫁ズの言う事は尤も。
なので念の為、男同士という縛りに基づき、従士のひとりである
ジャンは変身魔法も使えるから、人間に擬態させる事も出来るから、都合が良い。
と、いう事で……
男同士の旅の仲間として、ジャンも加わりわいわいがやがや。
4人で密談出来るから、俺の鍛冶場が作戦会議室となった。
タバサを始めとした愛娘軍団。
そしてポールには、羨ましがられたが、嫁ズにも協力して貰い、しっかりケアを行う事とする。
という事で、出発日は1か月後という曖昧な予定を立て、俺は3人と相談する。
ちなみに練習も兼ねて、会話は念話で。
レオとイーサンは、当然念話を発する事は出来ないが、受信も練習が必要であるからだ。
俺はレオとイーサンへ問う。
『お前達、どこへ行きたいんだ』
『まずは王都だよ、お父さん』
『ああ、俺も王都かな』
ジャンも追随する。
『王都なら、俺っちは勿論、部下の猫どもにも、大いにフォローさせますよ。坊ちゃんたち』
レオとイーサン、ジャンの付き合いも長い。
というか、ふたりが生まれた時から見守っているから、思い入れも深いらしい。
『ああ、ジャン、宜しくね』
『頼りにしてるよ』
『ああ、任せといてください。ケン様と俺にとって、王都は庭でさあ』
『ジャンはそんなに詳しいんだ』
『じゃあ王都に、面白そうな場所ある?』
『そりゃ! 綺麗な女の子がい~っぱい居る店とか!』
『え? 何それ!』
『そんな店が王都にあるの? でもレオはアメリーちゃんが居るから、関係ないだろ』
アメリーちゃんは、ボヌール村に住む移民者カニャールさんの愛娘。
レオの幼なじみの可愛い子。
確か、年齢はひとつ下の9歳。
もう5年近く付き合って?いる。
イーサンは昔、アメリーちゃんに振られていた。
ちょっとした、逆襲ってところだろう。
『何だ、それ?』
『だって! レオは浮気したら、ヤバイだろ。俺は大人のお姉さんに可愛がって貰うんだぁ!』
会話が危ない方向へ向かった。
さすがに俺がストップをかける。
『おいおい、お前達スタップ! こらぁ、ジャン。10歳の男子にはまだ早いだろ。それにそんな店行ってバレたら、俺もお前も、クーガーを始め、嫁ズに思いっきりボコられるぞ』
嫁ズが本気で怒ったらマジでまずい。
ジャンは真っ青になり、首を横へ振った。
『うわ!? そりゃヤバイ! 坊ちゃんたち、今のは聞かなかった事にしてください』
『え~?』
『どうして?』
首を傾げるレオとイーサンへ、
『まだお前達は子供だし、大人になってから改めてする話だ。お母さん達には言うなよ』
俺がそう言うと、レオとイーサンは、すぐに察したようだ。
『分かったよ、お父さん』
『大人になってからだね』
『ホッ、良かったあ!』
安堵し、大きく息を吐いたジャン。
『ジャン……そんなにお母さん達が怖いんだ?』
『まあ、分かるけどさ』
3人の会話を様子を見て、俺は笑う。
『だな! ははは』
『はははははは!』
最後は全員で大笑いし、打合せは続いたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『お父さん、王都以外に行けそうな所は?』
『教えてくれる?』
レオとイーサンが尋ねて来たので、
『分かった。じゃあどんどん上げて行くぞ』
と俺は言い、近場からどんどん告げて行く。
『エモシオン、ジェトレ村、王都、アールヴの国イエーラ、ドヴェルグの村、そして妖精の国アヴァロンあたりかな』
『へぇ!』
『お父さん、それ以外は?』
『ああ、ヴァレンタイン王国以外の国とか、もっと魔物が出る未開の地はある。だが勝手が分からないし、危険な場所には連れて行かないようお母さん達と約束した。だからさっき上げた中から選んでくれ』
『分かった!』
『旅行の日は5日間の予定だし、お父さんが上げた場所だって、とても回り切れないもんね!』
『お前達、聞き分けてくれてありがとな』
『うん、お父さん。まだまだ俺達、弱いもの。お父さんとお母さんに守られてる子供なんだ……いっぱい鍛えて、いろいろな経験をして強い大人になりたい』
『レオの言う通りだ。俺達、お母さんと家族、仲間を守りたい! お父さんのように強くなりたい! 俺達は軟弱じゃない! タバサ姉さんに負けたくない!』
『ふたりとも良く言った。立派な決意だと思う。俺も凄く嬉しいよ。だが命は大事にするんだぞ』
未来への決意を語るレオとイーサンの眼差しは真剣だった。
俺は嬉しく思うのと同時に、はっきりと諭していたのである。
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