第49話「ガンガン使い倒してくださいませませ」
なんやかんやあったが……
俺と嫁ズが赴き、毎週行われる人魔族との打合せは無事終了した。
様々な課題検討は、リーダーのアガレスを秘書役代行のスオメタルが補佐する形で……
ヴァルヴァラ様、ケルトゥリ様を含めた女神様達も参加で滞りなく進み、多くの意見が出されたのだ。
すぐ実施可能な案件は「即座」に、多少時間がかかる案件は「じっくり」と、困難な案件は「再考」をという感じ。
しばらくはこの形で政務を進めると、スオメタルは教えてくれた。
だが、女神様達はいつまでも人魔族入植地へ居るわけにもいかない。
現在の状況は元々、ロヴィーサが不在という理由から発生した。
当のロヴィーサはしばらく地上で修業する事となった。
ロヴィーサが戻るまで、一体どうするのかとスオメタルへ相談したところ……
今後の対応策は立ててあった。
神と神の話し合いという事で、嫁ズとロヴィーサは、気を利かせ外してくれた。
……スオメタルは、人魔族の入植地に当分の間、常駐するらしい。
さすがにヴァルヴァラ様、ケルトゥリ様上級女神様は天界へ帰還する。
だが、「若手」の女神様が数人から5名程度、持ち回りでスオメタルを補佐。
その間、人魔族の若手男女を政務候補生として入れ、鍛えるという。
「かつてケン様が、新人の私を
「え? 人魔族のパイオニア?」
ロヴィーサは「人魔族のパイオニアになれ」とレイモン様に励まされた。
何故? 知っているのかと聞いたら、愚問であった。
天界は、いろいろな箇所に、監視カメラのように魔法水晶製の『視点』を設けているのだ。
オベロン様が心配の余り、密かにボヌール村の様子を見守っているように。
「うふふ、ケン様達が昨日、人間の
「成る程」
「あのレイモンなる人間は良き言葉を考え、ロヴィーサへ絶妙のタイミングで投げかけたと思うでございます」
「ああ、俺もそう思うよ」
「新たな種族、人魔族の登場で、世界はまた大きく変わって行くでございます。私もサポート女神としてやりがいのある大仕事を任され、嬉しいでございます。ケン様に鍛えて頂いたお陰でございますね」
「いやいや、本当に申しわけない。スオメタルが来てくれなかったら、全てが
「励みになるお言葉を頂き、感謝でございます。あまり気になさらず、スオメタルをガンガン使い倒してくださいませませ。頑張りますよ!」
スオメタルは、にっこり笑いながらも、俺へ強い決意を語ってくれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こうして……
俺達は自宅へ戻った。
俺、サキ、クーガー、ベアーテと共に再び戻って来たロヴィーサを見て、留守番組の嫁ズは大いに喜んだ。
戻ったら、しばらくは修業を継続するという話が周知されていたからである。
タバサ以外の子供達へは、ロヴィーサ帰還の可能性を伝えていなかったから、結果良しという事で、
「ロヴィ姉ちゃんはいつも通り居るよね」という見え方となった。
ただ、ひとつだけ困った事がある。
薄々気付いていたが、ロヴィーサが俺に持つ『好意』である。
彼女は純粋で一途。
それに俺への好意がモチベーションとなっている節もある。
念の為、俺はロヴィーサは嫌いではない。
好ましいと思っている。
だが、妻にしたいという思いはない。
可愛い妹か、ティターニア様と相談した設定ではないが、姪のようなものだ。
ベアーテで妻にする女子は終わりと、決めたという経緯もある。
そんな想いを抱きながら……
ユウキ家は改めて勢ぞろいし、夕食となった。
コンビ継続を喜ぶサキを始めとし、嫁ズの間では、ロヴィーサ残留記念のお祝いという感の強い夕食となり、大いに盛り上がった。
前述した通り、タバサ以外の子供達は事情を知らない。
だから、きょとんとしていたけれどね。
熱い
ロヴィーサがひとり、俺の部屋を訪ねて来た。
特別な話があるという。
明日は、金曜日でまたもアヴァロンへ……
今度はオベロン様の下へ赴く。
その打合せの前に少しだけ話す時間が欲しいと言う。
果たして……
ロヴィーサは俺に対し、どのような話をするのであろうか?
大きく深呼吸し、話を始めようとするロヴィーサを、
俺はじっと見つめたのである。
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