妬みと陰謀編
第1話 「近況」
皆さん、お久し振り!
俺はケン・ユウキ、18歳。
3年前に異世界転生して、神様からレベル99の力を与えられた。
エルフの華麗な魔法剣士か、誰もが望む華々しい王都の勇者という選択肢も示されたが、結局はじみ~に辺境の村ボヌールへ移住。
様々な事件があって、もう駄目かとも思ったけど……
何とか、平和な暮らしと7人の美少女嫁をゲット!
無事に結婚式も挙げた。
子供も生まれた。
そして、村長見習いを2年余り勤めあげ、先日義父であるジョエル村長から村長代理を拝命した。
現在家族は嫁が7人、子供が4人。
ひとつ屋根の下、12人の大家族で暮らしている。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ボヌール村で暮らす普段の生活は、相変わらず「ゆる~く」時間が流れている……
そんな、ある日の事だ。
家族で話していて、久々にエモシオンの町へ行こうという事になった。
目的は、いくつかある。
ミシェルとソフィ、嫁ふたりの両親である領主オベール様夫婦への顔出しと大空屋の仕入れのふたつがメイン。
家族サービスの、町内観光も兼ねた旅だ。
エモシオンだって人口1,500人の田舎町なのだが、住民が100人ちょいしか居ない辺境のボヌール村に比べれば天と地の差がある。
立派な大都会レベルなのだ。
店の数だけで言っても、大空屋たった1軒しかないボヌール村に比べて、エモシオンは40軒以上もある。
俺は都会で暮らすのは嫌いだが、仕事なら致し方ない。
それに短期間だけ遊ぶのなら好き。
たまに行くのなら楽しいじゃないか。
そんなわけで、本当は7人の嫁と4人の子供の家族全員で行きたかった。
だが、第一夫人のリゼットが妊娠中。
遠出は難しい。
万が一何かあって、健康が損なわれてはいけない。
お腹に居るのは、俺の愛しい子供だもの。
でも本当は……行こうと思えば全員で行ける。
実は……馬車で半日かかる旅も、今や俺の転移魔法で「ちゃちゃっ」と行って来れるから。
瞬時にエモシオンに行けるので、身重のリゼットが同行しても問題は無い。
だが気軽にリゼットを連れて行くと、周囲からあまりにも不自然に見えてしまう。
だから今回は、悪いけどリゼットには留守番をして貰う事にする。
子供が無事に生まれて成長し、遠出が出来るようになったら、改めてケアをしようと思う。
しかし、リゼットひとりの留守番はあまりにも可哀想だと察して、クッカが「私も留守番します」と立候補してくれた。
これも深謀遠慮の賜物。
俺が同行者の人選をすると角が立つから。
そんな詰まらない事で俺を悪者にしないようにと、気配りしてくれるのはさすがクッカだ。
続いて手を挙げてくれたのはレベッカ。
こちらはクッカの行動に、賛同したからに違いない。
これで、留守番組の嫁ズ3人が決定した。
4人の子供の世話もして貰う。
となると、今回の同行者は領主である父オベール様と会うソフィことステファニー、奥さんのイザベルさんの娘ミシェルは勿論の事、エモシオン未経験なクーガー、クラリスの計4人となったのである。
翌日早朝……
いよいよ出発となった。
移動手段だが、ミシェルの馬車に全員が乗り込む。
以前の荷車は老朽化したので、以前エモシオンへ行った時に買い替えた。
頑丈で、広さも充分。
だから、5人フルで乗れる。
牽引するのはいつものラバではなく、平凡地味な鹿毛馬に擬態した従士ベイヤールだ。
元々はプライドの高い悪魔馬だが、すっかり俺達家族に馴染んでいる。
このように馬車での平凡な旅に見せてはいるが、これは表向き。
世を忍ぶ仮の姿である。
村を出て暫くしたら、ほいっと転移魔法を使って、エモシオンの最寄へ行く。
何食わぬ顔で街道を走って、エモシオンの正門で入場手続き。
楽チンだ。
所要時間も含めて一番ベスト。
幸い俺の家族以外、ボヌール村の人は同行しないから不審がられる心配もない。
エモシオンの門番だって、到着時のチェックをするだけだ。
身元の確認をするだけ。
ボヌール村をいつ出発したのか? なんて聞かないから全く問題無しである。
出発の際に、自宅前で留守番組の嫁ズと子供達が見送ってくれた。
クッカと身重のリゼットが立ち、大きく手を振っている。
傍らで、レベッカが押す『散歩カー』の中には4人の子供が乗っていた。
全員が俺の子供で、クッカとの娘タバサ、ミシェルとの娘シャルロット、クーガーとの息子レオに、レベッカとの息子イーサンである。
全員が2歳。
ずっと、可愛い盛りが続いている。
いや……
自分の子供は永久に可愛い盛りに違いない。
言葉もどんどん覚えて、カタコトで喋れるようになった。
全員が2語文使用でたどたどしいが、そこがまた堪らなく可愛い。
ちなみに2語文というのは単語と単語を繋げて話す事。
「パパ、すき」が、俺の一番気に入っている台詞なのは言うまでもない。。
子供達は、俺や嫁ズの言うことを何でも真似したがる。
最近は意思もはっきり示すようになって特に「イヤ!」という拒否の表情は面白い。
ちっこい癖に、一生懸命自己主張しているのだ。
俺の最初の子であるタバサが生まれた時、育児初体験のクッカは相当苦労したようだ。
産婆さんに教えて貰って、おっぱいをあげたり、おむつを替えたり、寝かしつけたり大奮闘。
だが、ボヌール村は全員が家族。
俺も含めて他の嫁ズがクッカの真似をして子育てを手伝うだけでなく、経験豊富な『じいじ』と『ばあば』もいろいろ手解きしてくれたり、タバサの面倒を見てくれた。
年寄りに釣られて数少ない村の子供達も、実の妹のようにタバサを可愛がってくれたのだ。
様々な世代が混じって、小さな子供の面倒を見る。
世代ごとに固まるなんてない。
じつに、ほのぼのしている。
最近の日本の都会では見られなくなった光景であり、これが本来の人間社会じゃないかと思った次第。
やがてミシェル、クーガー、レベッカにも子供が生まれ、俺達は一致団結して子育てを頑張ったのである。
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