第6話 20-girls③

「アーム収納完了!」

 赤毛のノリエが告げる。体の色素が薄く透き通る肌に赤みがかった瞳の持ち主だ。


「シクヴァル来ます!10本以上!」

「ケチりやがって」

 ミツの報告にチエコが毒舌をかぶせる。


 シクヴァルはかつてソ連が開発したスーパーキャビテーション魚雷の元祖で、先端から泡を噴出させることで水の抵抗をなくしロケット噴射で速度200ノット(370km/h)の雷速を可能としていた。

 殷級が発射したのはその発展系で違う名前がついているがスーパーキャビテーション魚雷全般の通称としてシクヴァルは浸透していた。


「マサエさん準備はよろしい?」

『マキマキのマシマシよ!』

 いつもハイテンション水雷長マサエの声がはずんだ。

「ミサキさんかじそのまま。突っ切るわよ!」

「了解」

 操舵手のミサキが静かにこたえる。こちらはめったなことでは動じない鉄の乙女だ。


 シーキャットはシクヴァルの驟雨に突っ込んでいった。

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