第5話 20-girls②

『こちらエビフリャー、漂流者を収容しました。それと海洋連合の飛行機に発見されたもよう!』

 水中通信機からエビフリャー艇長チヅルの声が響いた。

「しかたないわね。メインタンク、ブロー!上げ舵一杯!エビフリャーを緊急収納する」


 シーキャットが海底から離れた。

 普通の涙滴型潜水艦とはまるで違ったシルエットがあらわになる。

 特に船尾の二つの尾がまるで魚類のようだ。

 カーボン・ナノチューブからなる炭素繊維と導電ポリマー製ハイドロジェルの複合素材によるソフトアクチュエーターすなわち人工筋肉が左右にうねり推進力を生みだしていた。


 軽くて省エネで高出力、しかもである。

 ウォータージェット推進と組み合わせることで自在に海中を泳ぐことができた。


 さらにエビフリャーが近づくと左右二本のやはり人工筋肉製アームがキャッチしてしなやかにドッキングさせた。整流カバーが閉じるまで1分とかからない早業だった。




「艦長、うるさいのがいっぱい出てきました」

 ソナー手、色白のミツが振り返って報告する。ツインテールが軽やかに揺れた。

「殷級20隻」


「量子レーダーでも確認。すべてミサイルポッドを装備しています」

 粗い画像ながら外付けのミサイル発射管が見てとれた。

「数射ちゃ当たるってか」

 同じく水測科信号長、こちらは色黒のチエコが馬鹿にする。


「APTO軍の潜水艦隊にLED通信。こちらはまかせてブローアウト兵器の排除につとめられたし、と」

 サヨリは立ち上がった。

「最大戦速!敵を引きつけるわよ!」

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