第53話 I wish..♥願わくば♡ 53 加筆修正有2020.08☆

53.


=== 仁科葵 & 仁科貴司 ===




 『あなたとなんてよりを戻したくないの。

でも、納得しないから納得出来るように条件出して

あげてるんじゃないの。


 それになんなの?その執着。


 愛してもない妻にどうしてそんなに執着するのか

意味判んないわ、全く。


 家族、近所の人達、親戚、知人、友人、もうあなたが

してきたことなんて知ってるんだし、私があなたの元を

去ったからって誰も驚きやしないし、あなたを責めたりだって

しないんじゃない? 25年だよ? 



 皆、遅いくらいだぜとは思うかもしれないけど。

 あなたは何も気にすることはない。


 私こそだよ。この25年間、皆からたぶん可哀想な奥さんって

思われてきて、本当に私は気の毒な女なんだよ?


 あなたも私もナーンも失くすモノなんてないんだから。

別々の人生を歩んだらいいのよ。判った?』



『結婚直後から始まった数々の女性との浮気の証拠、流石に全部

とはいえないけど、その手のプロに頼んでとった何人分かの

証拠と最近のモノで云えば小野寺さんのモノも、ばっちり

証拠を掴んでるから慰謝料も請求します。


 話し合いが拗れた場合は弁護士を入れて裁判も辞さないつもり。


 本気なのでちゃんと考えてください。


 昔のモノは裁判で効力ないと思うけれどまぁ、裁判官の心証に

訴えるのに少しは役立つと思うから、情報として一応提出

するつもり。


 あなたが私達家族にどんなに非常で残酷な夫であったかが

白日の下に曝されるわね。

 あなたがほんの小さなことと考えていることを周りの人達に

Judgeしてもらえる機会でもあるわけ』





「葵、君の忌憚の無い意見を聞く今のいままで本当にそこまで

君を傷つけ悲しい思いをさせていたことに気付いてなかった。

 ほんとにごめん、すまない。


  昨年の宣言は本心だ。良い夫になる。

 もっともっと君につくす。

 だから、結論をそう急がず時間をくれないか。


  よく話し合おう!


  何も今からシングルになって働いて苦労しなくてもいいじゃないか。

 今のままなら、経済的にも精神的にも俺が守ってやれる。

 50才を過ぎてアラ還になって仕事するって思ってるより

大変なことだ。」




 『貴司さん、どーしてそれを25年前に、まだまだ私達が

若かった頃に云ってくれなかったの?


 聞きたいのは私のほう。

 どうして60才間近になってからなの?


 自分の老後の保身の為だからでしょ?


 どんなに魅力的なオファーもそれを受け 入れる側が

望んでいなければ、ただの意味の無いオファーでしか

ないのよ』




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