第129話つけつけとまあ……

 ラノベを、読んでいたのである。

 思考はアグレッシヴ。

 疑問があればツッコみまくる、そういうとき。

 母が何かのついでのように部屋へ来て、なにやら話しかけてくる。


「昨日K君(甥っ子)がね、公園へ行くとき『ねえねも誘おうよ』って二回くらい言った。があるのね。Y君はそんなふうに言わないのにね」


 と。

 今、なんでそんなことを言いつけてくるのだ。

(注)ラノベ(アクション)を読んでいる。

 K君は確かにやさしいよ。知っている。

 おそらく、家に一人残される形になった私を思ってくれたのだろう。そう推測できる。

 しかし、そんなことはわたくしに直接関係がない。

 わたくしの感情になにか植えつけるかのように、兄のY君とひきくらべる必要がどこにある?

 そしてわたくしは本(ラノベ)を読んでいる、邪魔しないでほしい。

 食事の時の話題に「K君はああで」「Y君はこうで」と言うのならもういい。妹んちの子(母)になってしまいなさい。

 

 肉をがむがむ噛みながら思うのである。

 別にY君が悪いわけでもないのに、K君が思いやりがある、などと言うのは失礼ではないか。

 ねえねは5歳足らずの幼児に思いやられねばならないほど、あわれな身分ではない。

 もう少しで今日二冊目の本(ラノベ)を読み終えるところだったのに、気分が悪い。

 母は妙なところでつけつけとしている。昔からだが、なにかひとつ余計なのだ。それが何かモノを含んでいるように聞こえても一向にかまわない。

 ああ、今日のダイコンが苦々しいこと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る