第126話人格が変わるとき
わたくしは主に具合が悪いときと眠いときとお金が絡んだ時に人格が変わる。
具合が悪いときは、とにかくネガティブな思考を解説してわかってもらおうとする。眠い時は話が聞けない、とにかく横になりたいと訴える。お金は……そうね、厳密になる。
母は、家族のこととなると行き過ぎではないかというような気づかいを見せる。
孫娘が幼稚園でお昼寝布団のシーツを必要としている、となると、娘が渡した設計図をもとに、安い布で作ってしまう。名札を書いてまつり縫いまでしてしまう。マッキーだと思っていた太い黒ペンが水性だったと言われて、しみになったシーツをひきとって、また布を買って作ってしまう。
「制作費用くらい、出してもらいなよ」
と横から言うと、
「ボランティアだから」
という。
いい布を使うとお金がかかるとこぼしていたが、安く抑えたのでタダ働きも辞さない。ああ、いいけれど、娘はイッコも裁縫ができないまんまです。
祖母が薬を飲み忘れていたらしい、ということがわかって、大騒ぎ。非常に厳密に
「いついつもらったなになにの薬、これは何の薬? お薬手帳は?」
と。
一緒に車に乗っていても、話すことは祖母の薬のこと。
「おばあちゃん、血圧の薬のんだ? って聞いても、へ? へ? っていうの。やっぱり年を取ると赤ん坊に近づいていくって本当ね」
家に帰ると祖母の薬をテーブルにドサッと出して、検分していく。
「これは何の薬?」
というので、わたくしがネットで調べた。名前を検索するだけで、血圧の薬と整腸剤とわかる。
母は「整腸剤なら飲み残しても大丈夫たい。下剤と同じわけだから。べつに毎日のまなくても」
そして薬を確認してしまうと。
「ああ……あった。全部で*種類。これで大丈夫」
といってTVを見始める。
仕事をどうやっているのか、わたくしは知らないが、きっとそこでもいつもと違う母がいるのだろうな、と思う。
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