第102話勝ったとです。

 祖母とわたくし、母の車で靴を買いにいったんでございます。

 靴、といえばわたくしは「東京靴流通センター」なのですが、祖母は靴と言えばブランドという感じで、かみ合わないながらも行って参りました。


 まずは流通センターから。

 たいへん安価です。そして最先端技術と実験作であふれてます。

 わたくしは千円台の無理なくはけるヒールのサンダルを色違いで二足買いました。

 祖母は納得いかず、何足も履いては脱ぎ履いては脱ぎして、じっくり見回っておりました。

 あ、わたくし祖母にスリッパをとられてしまったので(無断で使用されてしまった)新しく買いたかったけれど、いいのが出てなくて。


 結局祖母は地元の老舗で買いました。

『靴は黒よね、フォーマルな場面で履けるから』とわたくしが言ったばかりに、合せるものはみんな黒。買ったのは帯状にラメの入ったきらきらした黒い靴。

 流通センターでは「つまづかない靴」とか「消臭エアポンプ付き」とか「やわらかはき心地」などあったのですが、見向きもしない。


「硬いのとやわらかいの、どちらがいいの?」

 と尋ねたら、

「硬いのがいいたい」

 と意外な反応。


 お年を召した方は上げ底や消臭などには見向きもしません。高くて長持ち、ここが肝なんだそうです。

 自分の履いてる靴をさして、

「これは一万円。十年履いた」

 というから、思わず計算。十年と言えば百二十か月。一万円が百二十か月だから百円以下? いや、まあ、毎日出歩くこともないから、単純計算でひと月あたり八十三円で契約済みと思えば、長くはいたなアとも思うけれども。


 わたくしは……三千円台のグラディエーターサンダルを五年履いたから、ひと月あたり五十円? ……単純計算で、わたくしの方が安くあげてる!!!

 しかも流通センターで履き古しを下取りしてもらって二百円の割引券をもらったから、母にプレゼントした。とことんエコなわたくし。


 ハッ


 勝ったと!!!(熊本弁)

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