第101話101回目の暇
あああ、なぜわたくしは暇なんだ。本も読んでるよ? 適当に。
『暗殺教室』を二巻目まで読んだよ? ためになると思ったよ?
けどさー。心の隙間は埋められないんだ。
車でガソリンスタンド行ったんだ。
のーんびり、目を閉じてうつらうつらとしてた。そしたら……。
『カードお持ちですか?』
なんか! 非常に丁寧な奥様の声! 目をむいてみたら、毛先を遊ばせた化粧っ気のない茶髪ボブヘアの奥様が! ガソリンスタンドの制服きてる!
え――?
ほんと、ほんとうにご近所で見かけるような、普通のオシャレな奥さんなの! 美人! なんだけど、なにか疲れてるっぽい。慣れないことして、くたびれてるのかな? 旦那さんが定年か、要介護になって、パートに出たってところかな? わたくしもアルバイトニュースくらい見るから、ガソリンスタンドが四桁から始まる高給アルバイトだって知ってる。だけど、そこまでする――?
と。それが一週間くらい前のこと。今日再び行ったら(わたくしは乗車してるだけだが)こんどはおねえさんの声がする――すこしハスキーだけど、十分に張りがあり、語尾が拙い。そこが若々しい。
見ると、これまたセミロングの茶髪のお姉さんが――高校生くらいだろうか――ガソリン、車のキャップ開け閉めして入れてくれてた――なーんなのー?
しばらく前まで、そこはおじいちゃんのサロンかってくらい、お年を召した方々の働き場だった。こんなお年で……わたくしたちなんかの乗る車にガソリンを……フロントガラスを、バックミラーを磨いていらっしゃる……とゆー状態だったのに!
こーんどは、お嬢様方ですかあー? 大丈夫か日本!? いや大丈夫じゃない! こんどは就学児童がガソリンスタンドで働き始めるかもしれない!!!
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