第41話お絵かき3「リアル顔」右向き編
相変わらず「艶漢」の光路郎くんを描いている。この時点で、母に「ああ(警官に)見えるみえる」と言わせたので、とりあえず自己満足しておく。
リアル絵といえば、油絵などで自画像を描いてたりしたが、わたくしは気分によって顔つきがころころ変わるので、比較的短時間で仕上げねばならない。油絵だと鏡と首っ引きなのに、どんどん変わる。絵を描いていると目つきが厳しくなっていく。そして昔の文豪が残した写真みたいな自画像になる。
アトリエの先生は「化粧、しないの?」と言うのだが、顔に乗せる顔料がもったいない。化粧の仕方なんて知りません! という状態だったので「?」と首をかしげていた。いや、絵を描く人間が美醜に無頓着で良いはずはないんだけれど、お金なかったし。大学生がどういう化粧するもんだかわかんないし。
まあ、お化粧がうまいひとは、絵もうまい。ファッションが様になっているひとは絵も様になっている。美的感覚が研ぎ澄まされている気がする。今はアレルギー性の敏感肌用の化粧品を使っている。美容室で化粧を教えてもらったら、ギャルメイクだったのでウケた。どうやらファッションでどうこう、面接用のメイクがどうこう、ではなくその美容室のイメージメイクだったらしい。もっと店は選ぼう……。
模写をしてると「ほんと、漫画家さんってすごいよね……」と感心しつつ、その絵の線やバランスを見る。
作者さん、なにを思ってこの線を書かれたのだろう。作品を通してみると、ここの線はだいぶ後になってから描きこまれるようになった線だ……とかいうことに気づく。
そして、光路郎くんは左向きの顔と正面向きのキメ顔が多いのに気づいた。わたくしはなにげないシーンにも光路郎くんの表情がどう動くのか、非常に期待して見ている。
小さなコマの中でもしっかり「巡査」の顔をしているのを発見し、どきどきする。とにかく、目で表現してるから、自然に目を追ってしまう。
「ちょっとおどろいてるとき」「目が飛び出そうなほどおどろいてるとき」「あやしいとにらんだ人物に相対するとき」「剣を抜くとき」「主人公をみるとき」ここのあたりが、注目しやすい。おもしろい。次にどんな顔をするのか、先が気になって仕方ないのである。
目で演技する女優は大物になる、という通り、キャラクターが目で表現されている「艶漢」は今後も、もっとでっかくスケールを広げるに違いない。
わたくしは個人的にそう思っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます