第40話「艶漢」!!! チケット代とっとこう……

 ますます美麗な表紙に、よろろっとなって「艶漢」最新刊まで読んでしまった。

 実は「艶漢」とはちょっとブランクがあって、また読みだしたのである。koebuをやっていた頃(今年9月で終了したが)本屋で惚れて、6巻と当時出ていた画集の「極彩少年」まで大人買いしたのだ。

 常にそんな買い方をしている。

 ところが天啓が下った。

「今、読むな」

と……。

 わたくしはその声にあらがったが、画集は売ってしまった。

 今またこうして買い戻して手元にそろえているわけだが……。

 あのときの声はわたくしの精神が熟すまで待て、ということだったのかもしれない。


 あの頃のわたくしは、平積みの「艶漢」を見下ろし、「あと十年もすれば再燃するだろう」と、ふらちな考えを持っていた。漫画はあまりに身近な娯楽だったので、つい甘く見ていた。絵を描く者は万巻の書に通じていなければならないというのに。

 しかし既刊6巻は本棚にとっておいた。繊細で可憐な表紙に、手放しがたかったのだ。

 まあ、内容がハードな上に設定も半端じゃないから、アニメ化はしないと直感していた。そういうレーベルじゃないし。

 ところが、この「艶漢」は今年の夏(正確には3月?)に舞台化していた!

 その事実を知ったとき「そっちか!」と……どっちだ(笑)

 うん、そうだよ。これ演劇系じゃん、なんで考えつかなかったんだろう。動画を見て思った。


 わたくしも画面作りを見て「この作者さんどういう勉強を!?」と思えるくらいには心が成長してきた。

 わけもわからず熱狂して、「わあ、すごい。キャッキャッ」というんじゃなくて「これは何ごと!?」と心騒がす大人になったのだ。

 熟した今だからこそ、再び、初めて本を手に取ったあの時の自分に戻って、「惚れた!」と心から言える自分に還ろう。そして楽しもう。


 あと一、二年もしくは物語の進行上十二年後になるかもしれないが、宝塚で公演されるかもしれないから、チケット代はとっておこうと思う。

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