第28話修行?

 かなり個人的な話。わたくしは元気、覇気というものがない。こう、心に燃やす薪のようなものが足りてないのだ。

 寝ず食わずでかかりきりになっていたボイスドラマ制作も、愛情をそそぐペットもほぼ同時期に失ってしまった。全てがわたくしの努力とは反対のベクトルで動いていた。しかたない。そういうことである。

 しかしこう一気に生きがいを無くすと、自分はどうかしてしまうのではないかと思いもするが……だれててはいけない。ここはひとつ自分に厳しくなってみよう、と生活改善を始めた。


 時報を告げる時計のクロックマンは、午前二時にセットしてある。わたくしは三時に起きる。しかし耐えられない。四時に朝にすべきことを済ませてしまう。入浴、洗面、着替え、部屋の掃除などだ。五時に散歩。六時に体操。きついねー。

 目覚めてすぐ、腹から声が出せるようにはなったが、九日間であきらめた。生活を規則正しくしても、文章が書けないしネタが出てこない。一日中眠気がとれないので午前中にコーヒーを三杯、と頑張ってもだめだった。

 寝るのは午後八時。これもきつかった。どうも寝付けない。

 アインシュタインの相対性理論ではないが、一日がやたらと長く感じる。そして思うようには規則正しく創作ができなかった。体力が落ちただけだった。

 まあ、ゆとりとはこういうものか、とも思うのだが……きつい状態が延々と続くというのはなんだか本末転倒で、わたくしは元気になってバリバリ創作がしたいので、大概にしておいた。

 うんそうね、雑念は無くなったけれど、もとからそう雑念に悩む性質でもないから、単なる苦行だった。

 今はリラックスできれば、それでいいやと思って、苦痛なことは避けるようにしている。

 九日間、TVの録画は観ないままだったし、本もちらっとしか読まなかった。以前、熱中していたことが苦痛になったのである。そして、そうまでしてやりたいことは、わたくしにはなかった。無目的に物事を行うのは虚無感があってだめだ。

 人は規則正しく生きるために、時間通りに事をなすのは無理なのではないだろうか? 目標もなく生きるとはつらいことだ。生きるために目標を設定するのはずれているだろうか?

 わたくしはなにか生きがいが欲しい。勉強もしたい。ただ、あの生活は隠居生活と同じで、ただ長生きしていきたい人のものだと思った。息をして暇暮らしするだけなんて、本当につらい。

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