エピローグ

 あおいさんは、僕たちの報告にとてもショックを受けていた。

「私が翔太に会わなければ、こんな事件は起こらなかったんじゃないか。」と、涙ながらに語っていた。

 その言葉に、僕はどう答えればいいのか分からなかった。

 確かに二人が出会わなければ、永沢先生が誤解する事もなかったかもしれない。

 しかし、そんな事を言えるはずもなかった。

「あおいさん、自分を責めないでください。」

 とは言ったものの、なんの慰めにもなっていないだろう。

 本当に悲しい事件だった。

 だからこそ1ヶ月後に、あおいさんから「翔太の意識が戻ったんです!」という連絡をもらった時は、僕も明日香さんもとても喜んだ。

 そう、翔太君は意識が戻ったのだ!

 まさに奇跡だった。

 鞘師警部の話では、永沢先生も涙を流して喜んだそうだ。

 あおいさんは、仕事を減らしてもらって、なるべく翔太君に付き添うようにしているそうだ。

 メンバーの、さゆみさんや亜美ちゃんも、お見舞いに訪れているそうだ。

 ちなみに明日香さんが、亜美ちゃからあおいさんへの電話の内容を気にしていたのは、亜美ちゃんは翔太君を見た事がないはずなのに、翔太君が高身長なのを知っていたからという事だったのだが、実は、亜美ちゃんは本当に、あおいさんの後をつけていたそうだ。

 これには、あおいさんも呆れていた。

 まあ何はともあれ、これから先みんなが幸せになってほしいと、切に願っている。

 ……僕も、明日香さんと幸せになりたいなぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

探偵、桜井明日香 わたなべ @watanabe1028

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ