第13話 できそうな金髪と残念幽霊

「しかし、こんな異世界で修也と会うことなんてびっくりだよ」

 宿を出て、空を見上げると月と太陽が寄り添っていた。

 二つとも中天に差し掛かっている。

「俺のほうがびっくりだよ」

 修也は予想外の展開に呆れというか、運命のいたずらに歯噛みをしたくなった。

 だが、見方を変えれば、悠美を味方に入れればさらに金をせびる方法も手に入るかもしれない。

 というか、足に関して悠美が使えるならば自分が強奪して。

「ろくでもないことは考えないほうがいいよ」

 無理らしい。

 もしかしたら障害になるのではないだろうか。

「あのー」

「何だ、幽霊メイド」

 このメイドに金目の物を盗ませたほうがいいのだろうか。

「そういえば、この子空を浮いているけど、何?」

「コイツか。まさに言ったとおりだが、幽霊だ」

「ふーん。そんなものまで拾っているなんて・・・・・・修也ってすごいんだね」

「まあな。俺は20個くらい異世界を回ってきた」

「嘘くさかったけど、なるほど。で、このメイドちゃんもその中で」

「いいや、俺の部屋でスポッキー食べてた」

「なにそれ」

 悠美が目を丸くし、ため息をつく。

 まあ、その反応も仕方ないだろうが、あるときはある。修也は経験しているわけで。まあ、悠美が信じるか信じないかは、わりとどうでもいい話だ。

「というか、私が見えるって言うんですね」

 リゼットが鼻息を荒くして、興奮していた。幾分かキラキラとしていて、犬が餌を待っているのを思わせる。

「そんなにうれしいの。純粋っていいわねえ」

「年寄りか」

「なによーひねくれ中2病」

「はあ、人の理解なんて俺は得れなくていい。それよりも、足だ。悠美、どれくらいで足に近づくんだ」

「町外れに待たせているのよ。だから、もう少し。それまではあのメイドの子を助けてあげなさいよ」

 面倒な事を言う。あれは。


「キャーッ! この幼女もらってもいいですか?」


「うおおお、僕は幼女じゃない! 助けろッ! うわっ、おばちゃんからあめもらった! いらねええええ!」


 ここは大阪なのだろうか・・・・・・・ではなく、ペリシーにもみくちゃにされているカロリナの惨状に関してもうどうでもいい話だ。

 正直無視したい。

「本当に助けなくてもいいんですか? 修也さん」

「知らん。お前が助けろ。ポルターガイストとかで」

「できませんよ。できるのはご飯を食べるために微妙に実体化するくらい。しかも人に見られず、こそこそと」

「残念な幽霊だな」

「残念言わないでくださいよ」

「残念を残念といわなくて何が悪い」

「酷い」

「あー、どうでもいい話ありがとう。そろそろ、外に出れそうだから。びっくりすると思うよ」



 

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