>19 たとえば花を添えるように




 ――あの時ついた嘘は、その場しのぎのものに過ぎなかった。


 でもそれでいい。それでいいのだと、心のどこかで分かっていた。

 終わりを予感していたのだと思う。


 だから、なんでもいい――彼女が何も憂わずに逝けたのなら。


 たとえ全てが本当でなくても、彼女たちがお互いを探し合っていたことは事実たしかなんだから。



 ……〝本当〟、といえば――



 生きている僕らの日々ものがたりは続いていく。


 飛張とばりくんの捜していた『イチローくん』について僕らが知っていると明らかになった今、いつかは追及されるだろう。

 あの時は「卒業した」なんて嘘をついたけれど――



 ……を、どう打ち明けようか?



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