第3話 魔王
◆
魔王。
唐突に現れた絶対的な存在。
元々この世界は平和だったとは言えない。
地域レベルで紛争は起きており、人が人を傷つけることはどこかしらで起こっていた。
それを当たり前と言ってしまう世の中に、魔王は現れた。
魔王の姿は厳密に見た人物はいない。
フードで顔を隠しながら長いコートを羽織ったその人物は、部下もなくふらりと現れ――
そして――奪っていく。
しかし奪っていくと言っても、金品を略奪して行くわけではない。
命を略奪して行くわけではない。
魔王は『何か』を奪っていくのだ。
何かには様々なモノが当たる。
ある人は向上心を奪われ、慢心に浸った。
ある人は中指の爪を奪われ、一週間痛かった。
ある人は肩こりを奪われ、快適になった。
ある人は敵愾心を奪われ、フレンドリーになった。
ある人は眠気を奪われ、倒れるまで活動するようになった。
この通り、魔王は普通ではありえないモノも奪っていく。
魔王と遭遇しても奪われなかった、と言っている人も、もしかしたら何か奪われているのに気が付いていないだけかもしれない。
その存在は全世界に認知され、
その存在は全世界に恐怖され、
その存在は全世界の敵となった。
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