他高生と同好の志

怒涛の期末試験が終了した週末は、休む間もなく段位審査に臨むことになった。脳味噌がくたくたに疲れていたことが幸いしたのか、審査中は無心で引き二回とも的に中った。

 女子更衣室で着替えていると、お久しぶり、と肩を叩かれた。先日の練習試合で中堅に立っていた他校の選手だった。

「私の事、憶えてる?」

「はい、先日の練習試合で、中堅でしたよね」

 そうそう、と嬉しそうに頷く彼女は八重歯がチャーミングで親近感がわいた。その後もおしゃべりをするうちに、近くのハンバーガーショップで夕飯を一緒に食べるまでに意気投合した。

「何で弓道始めたの?高校、弓道部ないところでしょう?」

「伯父が六段までいった人で、それでなんか、なんとなくかっこよかったし」

「中二病的な?」

「確かに始めたのは中学校からではあるけれど、そういうこじれた感じじゃなくて」

「純粋にかっこよかったから?」

「うん。でも、流鏑馬は中二だなぁ」

「あはは、なにそれ」

 新鮮なレタスを売りにした新商品を食みながら、弓道の事や高校生活のことなどを飽きることなく喋っていた。

 彼女は副部長を務める二年生で、その日のうちに連絡先を交換し、その後もしばしば他愛のないことをやり取りする仲になっていた。他校の先輩と親しくなるなどとは夢にも思わなかったし、私にとってそれは神社のネコ同様に心躍らせることになった。

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