かさぶたなのか、それとも

 エンジン音が近づいてきた。やがて、一人の人間が乗った荷台に鞄がくくりつけられてあるカゴが付いた赤いスーパーカブが、旧地下通路の入り口の前に停まった。人間の容姿は十代中頃で、上下対称の弧を描く大きな瞳、やや小ぶりだがすっと通った鼻、絶妙な淡さの桜色の唇を持った、どこか仏像的な美しさを持っていた。髪は腰まで伸び、十代中頃にしては背が高めの少女だった。

 「……ここも閉鎖されてる、っと」

 地下通路の入り口は、瓦礫やら何やらで塞がれていた。少女は、荷台の鞄から丸められた紙を取り出して、広げた。中心地区周辺の地図だった。現在地の辺りにある地下通路の入り口のマークに、赤で×印を付ける。他の場所にも、それと同じものが、五つあった。

 「……まだ、十ヶ所、残ってる……。次に行くか。やれやれ、めんどくさいこと任されちゃったなあ」

 少女は、そう言うと、スーパーカブに跨がって、そこから走り去った。

 

 その二日前。

 少女は、『中心地区』の最奥部、完全に崩れた巨大な建物を背にした、所謂『ギルド』と呼ばれる組織の集会所にいた。ある人物に呼ばれ、そこへ向かっていた。

 「……まさかギルドマスターに直接話が行ったとはね……」

 少女がぼやくと、

 「そりゃあ、『閉鎖されているはずの地下通路の入り口が開いていて、ペットがはいりこんでしまったので仕方なく侵入した』なんて報告すれば、当たり前ですよ」

 すかさず、前を歩いていた案内役に選ばれた受付嬢が返した。

 「まあ、そうですよね。でも、報告しない訳にはいかなかったですし……」

 「……『地下通路には、凶悪かつ強敵カテゴリーに入るモンスターが蔓延っていた。さらに、地下通路内部にあった梯子を降りたら』」

 受付嬢がそこまで行ったところで、目的の部屋の前に到着した。扉は、質素だが厳かな雰囲気が漂う造りだった。

 「あっ……と、ここがギルドマスターの執務室です。私は、終わるまでここで待機するように言われておりますので」

 「あ、はい。案内、ありがとうございます」

 受付嬢は、すすっと扉の脇に移動した。  

 「……」

 少女は、一瞬躊躇ってから、三回ノックした。

 「入りなさい」

 扉の奥から、返事が返ってきた。少女は、意を決して扉をあけた。

 「失礼します。ケイ・シーと申します。地下通路の報告の件について、参りました」

 「うん。どうぞ。こっちまで来なさい」

 ギルドマスターは、三、四十代の男性だった。顔は、割と整った方で、髪は長くも短くもなく、眼鏡をかけていた。その奥から、理知的な輝きが覗いていた。頑丈そうな木で出来た机の前に、手を組んで座っていた。

 「……失礼します」

 ケイ・シーと名乗った少女は、扉を閉めて、机越しにギルドマスターの前まで行って、

 「……」

 何故か複雑な顔をした。

 「?ここは、よほどの大きな音で無い限り、外部に音が漏れないようになっている。話を始める前に、何か、言いたい事でも?」

 ギルドマスターは、首を傾げながら言った。

 ケイは、言いにくそうに口を開いて、一拍空けてから、

 「……あの、寅(とら)さんですよね?」

 ギルドマスターは一瞬目を見開いて、

 「あっはは、バレたか……」

 気まずそうに、頭を掻きながら言った。

 ギルドマスターこと、寅は、ケイが働いている雑貨屋『セルフレスラヴ』の常連だ。よく買い物に来たり、食事を摂りに来ていた。

 「バレるも何も、顔が寅さんなんですもの」

 「そりゃ、そっか。隠してないしね」

 寅は、穏やかに笑った。そして、急に真面目な顔になって、

 「……さて、ここからは、ギルドマスターとして、話をしよう。君の報告によると、地下通路の入り口を封鎖しているはずの瓦礫がどかされていた。で、そこに君が飼っている……えっと、島三郎だっけか?が入り込んでしまい、仕方なく地下通路に侵入。ここまでで変なところは?」

 「いいえ、報告したままです」

 ケイは、首を横に振った。ギルドマスターは頷いて、

 「よし。じゃあ続けよう。……地下通路内部には、凶悪かつ強敵カテゴリーのモンスターが蔓延っていた。更には、地下通路の最深部付近に、梯子があった。そこを下っていくと……」

 ギルドマスターは、一度呼吸をして、

 「マヤリオコに酷似した町が広がっていた、と」

 「はい」

 ケイは、頷いた。

 「ふむ……」

 ギルドマスターは、腕を組み、椅子に背中を投げ出した。暫くして、

 「……地下通路が封鎖されている理由、分かるかな?」

 「……強敵カテゴリーのモンスターが蔓延っているから、ですか?」

 「そう。だから、調査は十分に出来なくてね……封鎖せざるを得なかったんだ。そして、閉鎖は解いていない。つまり……」

 ギルドマスターは、そこで区切ってから、

 「誰かが勝手に瓦礫をどかしたってことだね」

 そう結論付けた。さらに続ける。

 「……その『誰か』が単独なのか、複数なのかは分からない。だから、誰がやったのかは、ひとまず置いておこう。問題は、その後だ」

 「私が梯子を降りた先で見たものは何だったのか、ですね」

 「そう。その町、島三郎を探して、少しでも探索したんだよね?」

 「あ、はい、まあ……」

 「出来るだけ詳しく話して」

 ケイはそう言われると、視界の四隅をキョロキョロと一周してから、

 「……そこにもモンスターがいたので、のんびり探索、とまでは行かなかったんですけど、

とにかく、マヤリオコの町並みによく似ていました。ただ、あっちの方が……何となくですけど、綺麗で汚かった、って言うと変なんですけど……そんな感じがしました。一番驚いたのは、私が今住んでいる家があったことですね。そこで……アルバムを見つけて、開いてみたんです。そしたら……」

 一呼吸入れて、

 「撮った覚えの無い、私の写真があったんです。その写真は、そこに置いてきたんですけど……そこで、島三郎を見つけました。モンスターが強敵ばかりだったので、急いで撤退しました。帰りにモンスターに遭遇しなかったのは、運が良かったとしか言い様が無かったです。えっと、以上です」

 ケイは、一度深呼吸した。ギルドマスターは、

 「……成る程ね。地下に、同じ町、か……信じがたいけど、こんな世界だから、何が起こっても不思議じゃないし……。よし」

 ギルドマスターは、机の引き出しから、丸められた紙を取り出して、広げた。地図だった。

 「?」

 ケイは、首を傾げた。

 「こことここと、それと、ここら辺もだな……ケイ」

 「あ、はい」

 ケイは、傾げた首を戻して返事をした。

 「一つ、依頼したい。全ての地下通路の入り口を回って、そこが閉鎖されているのかどうか、調べて欲しい。閉鎖されていない入り口を見つけたら、全て回り終えてから、地下通路を、更に地下の町も調査して欲しい。出来るかな?」

 「……報酬にもよりますけど、一つ質問が」

 「……何かな?」

 「私一人で、ですか?助っ人とかは?」

 「うーん……すまない、地下通路のモンスターと対等以上に戦える構成員がいない」

 「……」

 ケイは、暫く腕を組んで考えて、 

 「わっ……かりました。もともと私が発見したことです。ギルドマスターからの依頼とあらば、ある程度、自由に出来そうですし、何より、あれは何だったのか、答えが知りたいです」

 真剣な表情で言った。

 「……ありがとう。危険だと判断したら、すぐに止めてね。死んで欲しくないから、ね」

 「はい」

  

 「……次で最後か」

 十五ヶ所目に×印を付けて、言った。

 「あの時の様に開いているのだろうか……」

 最後に残した場所へ、スーパーカブを走らせる。

 

 「……開いていたか」

 最後に残したのは、前に、島三郎と散歩に来た場所だった。地図に、丸を付ける。

 「……すぐに突入したいけど、ちゃんと準備してからだな……」

 そう言って、帰路に付いた。

 

 翌日。

 ケイは、準備を整え、地下通路の入り口の前にいた。荷物が入った大きなリュックを背負い、両腰には、一振りずつ剣を吊っていた。右には、四角い鍔で、柄頭が緩やかな楕円形を描き、穴が空いている剣を。左には、五鈷杵の持ち手を長くした様な形状の柄の剣を。

 「……行くか」

 ケイは、慎重に地下通路に降りていった。

 

 「はっ!だあぁ!」

 右手に握った五鈷杵の剣、通称『降魔の剣』が、閃く。グールハイエストは、十字に切り飛ばされた。

 「っ!ぐっ!……たあぁ!」

 左から来た骸骨、強敵モンスター『スケルトンソードマスター』の恐ろしく速い剣撃を、左手に握った剣、通称『シルバーバトンR』で弾き、いなす。そうして出来た隙を突いて、骸骨の首をはねた。

 髑髏が落ち、割れる音が響いてから、静寂が戻った。

 「ふう……もう、少し……」

 ケイは息を整えながら、そう呟いた。自分にしか聞こえない程、小さな声だった。左手の『シルバーバトンR』だけを鞘に納めてから、歩き出した。暫く真っ直ぐ進んだり、時々右に左に曲がってから、

 「ここを右に曲がると……あった」

 突き当たりに、下に続く梯子があった。 

 「よし、休憩……っと」

 音を立てずに、梯子の側に座った。リュックを降ろして、体の前に持ってくる。やはり音を立てずに開けて、中から携帯食料を取り出した。粘土の様だった。ケイは、無言で、それを手早く食べ終えた。音を立てずに立ち上がり、リュックを背負い直して、ゆっくりと梯子を下っていった。

 

 カン、カン、カン、カン、カン。 

 梯子が終わり、地面に足が付いた。下りきって、振り返ると、

 「……また、ここに来れた」

 そこには、マヤリオコにとてもよく似た町が広がっていた。『中心地区』周辺に似ていた。大きく異なるのは、今、ケイがいる、高台となっている場所ぐらいだった。

 「まずは、あの家に……」

 ケイは、そう呟くと、周囲を警戒しながら歩いていった。

 

 「やっぱりあった」

 ケイの目の前には、ケイ達が住んでいる家に酷似した家が佇んでいた。警戒しながら、横開きの引き戸を開けて、中に入った。ケイ達の家ならリビングがある場所に行くと、 

 「……やっぱり同じだ」

 多少ボロボロにはなっているが、テーブルからお茶請けを入れる小皿まで、写したかの様に同じ光景が広がっていた。

 「……」

 ケイはその後、他の部屋も調べたが、気味が悪い程にどこもかしこも写した様だった。

 「……ここで最後」

 ケイがそう言った部屋は、以前来た時に、アルバムを見つけた部屋だった。ドアを開けて、中に入る。入ってすぐ左手にあるタンスの一番下の段を開けて、漁り始める。

 「……見つけた」

 すぐにアルバムが見つかった。アルバムを開き、ページをめくっていく。真ん中辺りで、手が止まった。

 「……やっぱり」

 そこには、撮った覚えの無い、ニルテ、杏奈、ケイ、キュラノス、店長が写った写真があった。皆、楽しそうに笑っていた。

 「……」

 ケイは、その写真に指をかけ、ゆっくりと、慎重に剥がしていこうとした。その時だった。

 「待ちなされ」

 後ろから、老人の声が聞こえた。

 「っ!?」

 ケイは、慌てて立ち上がりながら振り返った。

 「ほほ、そんなに構えんでも、襲う気は無い」

 そこにいたのは、植物と人間を足して植物寄りにした様な外見の何かだった。身長は、ケイの膝より少し上ぐらいだった。山菜のウドの様な雰囲気を醸し出していた。 

 「……今日は。私は、ケイ・シーと言います。あの、あなたは……?」

 ケイは、構えを解いてから、名乗った。

 「儂か?ウドじゃ」

 「ここには、ウドさんの他に誰がいらっしゃるのですか?」

 「いや、儂一人じゃ。散歩していたらお主がこの家に入るのを見ての。すまんが、物を持っていくのは、止めにしてくれんかの」

 「どうしてですか?」

 ケイは、納得が出来ずに聞いた。

 「何、実に簡単な事じゃよ」

 ウドは、そう前置きしてから、

 「上の世界で、矛盾が起きてしまうからじゃよ」

 

 二人はリビングに行き、ケイは、家にあった物を使って、二人分のお茶を淹れた。一つを、ウドの前に置いた。

 「……それで、矛盾が起きるのは納得出来ます。ですが、分からない事が多すぎます」

 「何かな?答えられる限りで、答えよう」

 ケイは、お茶を飲んで、唇を湿らせて、

 「では、単刀直入に。ここは、どこなのですか?」

 ウドは、お茶を飲んでから、

 「……ここはな、過去と未来がごった煮になった空間なんじゃよ」

 「と、言いますと?」

 「言葉通りの意味じゃよ。ここは、かつての上の世界、そして、未来の上の世界が、交錯して生まれた、歪過ぎる空間なんじゃ。あの強いモンスターや儂は、その二つの世界の時間がぶつかり合い混じりあった余波で産まれたのじゃ」

 「……ここも、上と等しく、マヤリオコなのですか?」

 ケイがウドに聞いた。ウドは、

 「ほうほう、今はマヤリオコと言うのか。そうじゃなあ……、その解釈で、大まか合っておるぞ。ただ、マヤリオコ、という名前ではないがの。どんな名前かは、儂は知らんがの」

 「……その説明で、納得できる点が幾つかあるので、否定はしませんし、出来ません。ですが、新しく疑問が浮かびます」

 「何かな?」

 ケイとウドは、同時にお茶を飲んだ。唇を湿らせる。

 「何故『未来』まで下に?『過去』のみならともかく……」

 「そうじゃのう……本当の事は儂にも分からんが、一つ、仮説を聞いてくれるかの?」

 ケイは、首肯で答えた。ウドは、もう一度お茶を飲んで、

 「……『現在』が成り立つのは、『過去』あったからじゃ。それは分かるな?」

 「はい」

 「『未来』へ向かう力があるから、『現在』が成り立つのでは?儂は、そう思うんじゃ。『未来』を描く力が無ければ、待っておるのは……」

 「停滞、緩やかな滅亡、ですか?」

 「そうじゃ。だから、『過去』と『未来』が、ここで混ざり合い、上の世界をどうにか動かしているのではないか、とな、儂はそう思うんじゃよ」

 「……戦争の影響で、空が赤くなって、かなり経ちます。生態系は崩壊して、モンスターが跋扈しています。歪んでしまっているのに、もう、誰もその事を覚えていません。もう、最初からそうなっていた世代しかいませんから」

 ケイが、唐突にそう言って、

 「その仮説でいくと、稼働しているだけ、奇跡なんですね」

 「……お主は……」

 「……」

 ケイは、静かに辺りを見渡した。とても静かな、泣き終わった後、落ち着いた後の様な表情をしていた。見渡し終えて、ウドを見た。

 「……いや、何でもない。取り敢えず、そういうことじゃ」

 「……何となく、答えが掴めた気がします」

 「そうか……。いかん、そろそろここから出なさい」

 「へっ?どうしてですか?」

 「ここに長い間おると、来た時間帯へ戻れなくなるんじゃよ!」

 ウドが、慌てて叫んだ。ケイは、無言で帰り支度を済ませて、

 「貴重なお話、ありがとうございました」

 頭を下げて礼を言った。

 「なに、半分は仮説じゃ。こちらこそ、久しぶりに話が出来て楽しかったぞ。お茶もおいしかったし、満足じゃ」

 「では、ひょっとしたら、また来ます」

 ケイはそう言って、バタバタと出ていった。

 「……ああ、また来た時、儂がいる時ならの」

 ウドは、寂しそうに呟いた。

 

 何事もなく梯子まで到着したケイは、

 「……」

 一度、どこでもない場所を見渡してから、梯子を上っていった。

 

 カン、カン、カン、カン、カン。 

 「……戻ってきた。モンスターに出くわさ無ければいいけど……」

 梯子を登りきって、ケイは、自分にしか聞こえない程小さな声で呟いた。

 ケイは、時々左な右に曲がりながら、真っ直ぐ進み、モンスターに出くわすことも無く、外に出た。よく晴れた赤い空が、頭の上に広がった。

 「ああ……運が良かったのかな?」

 ケイは、空を見ながら言った。

 「さて……帰って、報告書、かな」

 

 その後、ケイは、次の様な報告書をギルドに提出した。

 

 今回の調査で分かったこと

 ・地下通路への入り口の瓦礫が退かされていたのは、一ヶ所(添付した地図の通り)

 ・地下通路内部のモンスターは非常に危険だが、入り口付近には近寄らない模様。なお、地下通路から地上に出ることも無い模様。

 ・地下通路は当初支給された地図よりも広大。モグラ系のモンスターが横穴を掘って地下通路同士を繋げると同時に拡大させた模様。

(添付した横穴の写真参照)

 ・地下通路最深部には謎の穴とそこから下りていくための梯子がある。梯子の強度は十分で、そこから下りていくと、マヤリオコの町、特に『中心地区』に酷似した広大な空間が広がっていた。

 ・空間内部では、地下通路以上に危険なモンスターが現れ、調査は難航。前回無断で行った探索の時に調査した場所を再調査するに留まった。

 ・以上の様に、調査するには危険度が高過ぎる。完全封鎖をする必要は無いが、調査隊を派遣するべきでは無い。

 

 更にその後日。 

 「あの、店長、皆」

 島三郎を抱きかかえたケイが、全員に声をかけた。一斉に、注目がケイに向く。

 「あの……、特に理由は無いんですけど、皆で写真撮りませんか?」

 「写真?」 「いいよー」

 「構いませんが……急にどうなさったのですか?」

 キュラノスがケイに聞いた。

 「いや、さ……何時でも会えるけど、何か、記録が欲しいなって……あれ、店長は?」

 「え?」

 先程までカウンターにいた店長が、忽然と姿を消していた。  

 「いやあ、やっと見つかった!コレ、見て!」

 店長の手には、黒く四角い箱があった。中央から太い筒が延びていた。全員を側に来させて、

 「旧文明の光学機械で、『カメラ』って言うらしいよ。いやあ、売れてなくて良かった!」

 「カメラ、ですか……。一眼レフですね。フィルム入ってますか?」

 ケイは、物珍しそうにカメラを見ながら言った。

 「知ってるのかケイちゃん!そこんところは、大丈夫!さっき確認した!バッチリ残ってるよ!」

 店長は、興奮しながら言った。

 「店長、落ち着いてください……。」

 キュラノスは、店長を宥めてから、

 「……じゃあ、お店の前で撮りましょうか?」

 「さんせーい!」 「はーい!」

 「うん。皆で写ろう!」

 その時だった。

 「……すいませーん、盛り上がってる所に悪いのですが……」

 寅がやって来た。

 「あっ、丁度良かった!寅さん、一眼レフカメラの使い方知ってますか?」

 ケイが、元気よく質問した。

 「か、カメラかい?一眼レフ?……使えるけど……」

 「やった!じゃあ寅さん、私達を撮って頂けませんか?」

 ケイは、目をキラキラ輝かせて言った。 

 「う、うん……」

 寅は、たじたじだった。


 「はーい、じゃあ、撮りますよー!チーズ、サンドイッチ!」

 ぱしゃり。

 五人と一匹(?)の笑顔が、記録された。

 交代で、寅が入った写真も撮った。

 全員の笑顔は、とても明るかった。

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