第六章 運命の時(4)
僕はゴエモンと一緒に、受け付けのお姉さんの前に立って、質問した。
「ポイント残高ではお望みの物はお渡しできそうにありませんね……」
「そうですか……」
残念だが、仕方が無い。わかっていたことだ。僕らはほとんどの時間を参加者たちの説得に費やしてしまったため、出店ではあまり遊んでいないのだ。
「あ、でも」
一変して明るそうな口調になったお姉さんの声に、僕はぴくりと反応した。
「署名獲得ボーナスのポイントが手つかずのまま残っていますので、そちらをご使用されれば、大抵の物は景品としてお渡しできますよ」
「ほ、ほんとうですか!?」
「はい、こちらが景品リストになります」
ぶ、分厚い。
それはリストというよりも、辞典と呼んだほうが似合いそうな代物だった。
ぺらぺらとめくっていく。どうやらポイントとあいうえおの昇順に並んでいるようだった。
つまり、最後のページに載っている景品が最もポイントを消費するものということだろう。まあ同一ポイントで複数ある場合も考えられるが。
「あれ、最後のページ、一番上の景品が真っ黒なんですけど……。あと、ひとつ前のページに空欄がいくつか……」
「ああ、それならポイントを全消費して獲得された先着さまがおりますね。上に行くほど、各景品の上限数は少なくなっていきますから」
これは……その景品を独占されたと考えていいだろう。独占しなければ困るものがそこには記載されていた?
「その景品の内容は教えていただけるんですか?」
「ええ、獲得基準を満たしたポイントを所持している場合に限り、お教えすることができますよ」
「それはいったい何なのですか?」
「はい、景品の内容は――――」
それを聞いて、僕とゴエモンは同じ使い道と結論に至ったらしく、凍り付いた。
「そんなの、ひとつしかねえだろ……」
「最悪じゃな……」
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