『怠惰』な俺は世界の支配者ー大罪会議を始めたくないー

星井扇子

プロローグ

 あの日、世界は変わった。原因はわからない。

 

 あの日、あの瞬間、ある人間が飛ぶようになり、ある人間が火を噴くようになり、ある人間が水中で呼吸するようになり、ある人間が土に潜るようになった。

 

 世界中に存在する半数以上の人間が、何らかの能力を得た。

 

 降ってわいた力に人々は怯え、戸惑い、狂喜した。

 あるものはその力を使い、正義を貫いた。

 あるものはその力を使い、罪悪を犯した。

 

 人々は急激な変化に立ち向かおうとする。

 ある国は理をもって鎮めようとした。ある国は力ですべてを抑えようとした。

 

 その結果は一つに収束された。

 世界の様相は変容し、ありとあらゆるルールが変化した。

 

 表向きは変わらない。

 持つものと持たざる者。

 富める者と貧しい者。

 

 それでも確かに変わっていたのだ。

 

 

 

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