第4話 人生は驚きの連続だ②
アイネ:「とにかく、ジュリアさんはゆっくり眠らせてあげよう。明日も仕事は休みをもらってるって聞いたし」
ロイエ:「そうですわね。本当にどこの国にもどうしようもないバカは存在するものですわねぇ………。そうは思いませんこと、姫様?」(背後に黒いオーラを漂わせたまま)
アイネ:「ソウデスネ………。(だから背後の不吉なものはしまってくれっつーのッ!)」
(翌日、昼過ぎ)
ジュリア:「ん……っ………」(身じろぎをし、ベッドから起き上がり、辺りを見回す)「此処は……? ッ……!」(二日酔いの頭痛に見舞われる)
ロイエ:(部屋の扉を開けて入ってくる)「ジュリア様、お目覚めになられましたか?」
ジュリア:「貴方は………?」
ロイエ:「今、ひ…、アイネ様を呼んで参りますので」(そう言って部屋から素早く出て行く)
アイネ:(数刻の後、扉を開け、手にお茶を淹れた盆を持って部屋に入って来る)「気分は如何ですか、ジュリアさん」
ジュリア:「………貴方は昨夜の……ッ! やはり夢ではなかったのだな…」(頭痛に額手で押さえる)
アイネ:(盆にのったコップを差し出し)「二日酔いに効く薬茶です。どうぞ」
ジュリア:「す、すまない……」(コップを手に取り、お茶を飲み干す)
アイネ:「二日酔いは脱水症状ですから。水分はこまめに摂ったほうが宜しいですよ」
ジュリア:「あ、ああ………。あ、あの………、昨夜は……」
ロイエ:(ジュリアの言葉を遮るように大きく扉を開け、食事ののったカートを引いてくる)「さあ! アイネ様、ジュリア様! 嫌なことを吹っ切るには美味しい物を食べるのが一番ですわ! お食事に致しましょう!」
アイネ:(眉を寄せながら)「………そこでどうして私やロイエも食べる側に回るの?」
ロイエ:「食事は大勢で賑やかに食べたほうが美味しいのですよ」(ジュリアの傍に行き、ジュリアの手をガッシリと握る)「お辛かったですわね。大丈夫ですわ! ジュリア様はとても素敵なお方ですもの! 必ずやこれから良い殿方が現れますわ」
アイネ:「………今もって過去の男の所業を許していないロイエが言っても説得力に欠ける」(ロイエに睨まれ、明後日の方向を向く)
ジュリア:(ロイエを見つめ)「貴殿も………?」
ロイエ:「………はい。わたくしも昔、付き合っていた方に騙され、全てを失うところまでいきました。ですがとある方にお助けいただき、事なきを得たのです」
ジュリア:「そうでしたか………。申し訳ない。辛いことを訊いてしまったようだ」
ロイエ:「いいえ。時間を重ねるごとに私は思いましたの。『いつか絶対に見返せるほど美しく顔を上げていよう!』と!! ですからッ!!」(ジュリアの手をガッシリと掴み)「バカな男のことなど忘れるぐらいに楽しいことや自分を磨くことをするのです!! ジュリア様ならば絶対にこれから更に美しくなっていきますわ! このロイエが保障致します!!」
ジュリア:「あ、ありがとう……」
アイネ:(紅茶を飲みながら二人の様子を眺めている)
(食事を終え、帰り仕度を済ませたジュリアをアイネとロイエが見送る為に玄関まで連れ立つ)
ジュリア:「しかし、この邸は一体どなたの邸なのだ? アイネ殿とロイエ殿の知人とは聞いているが……」
アイネ:「(まあ馬鹿でかい邸宅だものね)階下に行かれたらわかると思います。恐らくお茶の時間だと思われますから、ご本人がいらっしゃいますよ」
(階下に降りると書斎の部屋から初老の紳士が出てくる)
アイネ:「エイハブ様」
エイハブ:(アイネ達を見て顔を綻ばせる)「おお、アイネ殿。ご友人がお帰りかな?」
ジュリア:(エイハブを見て、驚愕を露わにする)「ア、アスカン公…!」
エイハブ:「もう引退して息子に爵位を譲った身。その呼び名は既に息子のものですよ。ジュリア殿」(朗らかに笑いながら)
ジュリア:(姿勢を正し)「は……ハッ!」
ロイエ:「アイネ様はエイハブ様の知己の娘で、こうして滞在させていただいているのです」
アイネ:「とても良くしてもらっております」(エイハブに微笑みかけながら)
エイハブ:「いえいえ、話し相手が出来て、暇な隠居の身としては嬉しい限りですよ」
ジュリア:(動揺しつつ)「そ、そうですか」
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