7月30日は何の日ですか?
「
生徒会室を訪れると開口一番そんな事を言ってくる
あぁ、そういやそんな日だったか……って事はまさか。
「でも残念でした! ウナギはありません!」
「ないのかよ! そこは用意するべきだろう、お嬢様!?」
「でも安心して下さい、
そう言いうと机に上にドンッとお馴染みの茶色い壺を置くお嬢様。
その蓋を開けると、そこには真っ赤に染まった大量の梅干しが。
「土用の丑の日は『う』の付く食べ物を食べるという話なので丁度良かったです。だって今日は【梅干しの日】ですからね!」
梅干しを小皿に乗せつつ、そんな豆知識をちょっと得意気に披露してくれる了華。
マジか……中々に奇跡的な偶然なんじゃなかろうかそれは。
「因みに土用の丑の日と【梅干しの日】が重なるのは9年ぶりです!」
……という訳で何の運命の悪戯か、本日の我が記念日部は土用の丑の日にウナギではなく、梅干しを食べるという妙な事になったのだった。
さて、しかしだ……梅干しとかそう何個も食べられる筈もなく……。
「
2個目を食べた辺りで涙目を向けてくる幼馴染様。
ってか、食べる前に気付けよ……。
「何やってんだ、お嬢様。ほら、お茶飲め、お茶」
言いながら淹れたばかりの緑茶を渡してやる。
受け取ると口でふーふーっと冷ましながら少しずつ飲む了華。
「はぁ~、梅干しにはやっぱり緑茶ですねぇ
「プッ……何かババくせーぞ、お嬢様」
「……
「んなアホな」
ジト目で睨んでくるお嬢様を軽く笑い飛ばしながら俺もお茶を啜る。
うん、馬鹿にしたが了華の言う通り緑茶と梅干しって合うわぁ。
そうしみじみ感じていると、
「ところで
「あ? なんだよ、お嬢様?」
「梅干しって酸っぱいですよね?」
そんな当り前の事を確認してくる幼馴染様。
一体どうしたんだ急に……しかし困惑する俺をよそに話を続ける了華。
「レモンも酸っぱいですよね?」
「うん? あぁ、そうな。まぁ、酸味の種類は大分違う気がするけど」
同意すると、急に顔を赤くする了華。
おいおい、マジでどうしたお嬢様?
そのおかしな様子を心配していると、
「な、なら梅干しはフ、フ、ファーストキスの味なんでしょうか!?」
とんでもない爆弾を放り込んできた。
その意外過ぎる発言に思わず咽て盛大に咳き込んでしまう。
「
「だ、大丈夫だ……って、何を、言っちゃってんのお嬢様?」
はぁはぁ……死ぬかと思ったぜ。
てか、本当何を急に訊いてくるんだ、この幼馴染様は!
「だって……気になるじゃないですか」
俯いて少し恥かしそうにそんな事を言い始める了華。
なんだ、マジでどうした幼馴染様よ……しかしだ、これはちょっと面白いな。
少しからかってみるか?
「そんなに気になるならお嬢様?」
「はい?」
「俺とするか?」
その言葉にポカンとして固まる幼馴染様。
だが暫くして、言葉の意味を理解すると酷く動揺した様子で慌て始める。
「何を!?
おぉ~予想以上のテンパり具合だな……てかどんどん顔が赤く染まっていくんだが……大丈夫かコレ?
「でも、でも、
あまりにもアレだったんでデコピン一発で正気に戻す。
なんだよ、お嬢様。涙目で睨んできやがって……。
放っておいたら多分、凄い事口走ってたぞ、お前さん。
「ばーか。冗談なのに真面目に考え過ぎだろうお嬢様」
「え? あ、ははっ……冗談……冗談だったんですか?」
「そうそう、そうだよ」
「は、は、
そう言うとそのまま生徒会室から走って出て行ってしまう幼馴染様。
……ヤバい……マズッた。これは急いで後を追わねーと。
あぁ~もう、お嬢様マジ面倒だな!
あの位の冗談で泣くことないだろーが!
その後、どうにか了華の機嫌を元に戻せたが……手痛い出費だった。
ケーキにクレープ、パフェにアイス……食べ過ぎだろう。
……にしても、どうして急にあんな事を言ったんだかね、お嬢様は。
はぁ~お嬢様の考えは分からんね、全く。
【部活メモ】
7月30日
◎土用の丑の日
皆ご存じウナギの日! 2016年は今日である。
ウナギを食べて夏を乗り切るというのは習慣は万葉集(7世紀後半~8世紀後半)にも記述がある程古いものだったりする。ただ、この日に食べる風習が広がったのは1772年 ~ 1788年(江戸時代の安永・天明の頃)からという話。
◎梅干しの日
和歌山県みなべ町の東農園が制定。
「梅干しを食べると難が去る」という言い伝えから7(なん)3(がさ)0(る)=7月30日の語呂合わせ。
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