7月27日は何の日ですか?
「
生徒会室を訪れると、大きなスイカを抱えながら笑顔で挨拶をしてくる
お~、そうくるだろうと予想してたぜ、
「よう、お嬢様。にしてもまた沢山買ってきたな……」
だが、スイカを10玉も用意するとは思わなかったわ。
いつぞやのキュウリとは違うのだ……多くても2~3玉と考えてたんだが。
いやー流石、幼馴染様だね。
「
スイカに負けない程にたわわな胸を張るお嬢様。
おう、だから、その無防備さはどうにかしてくれ、本当。
にしても、何食べたらこんなに大きくなんだか……身長はチビなのに。
って、俺は何を……えぇい、消えろ煩悩。これだから夏はいけない。
「し、しかしだ、お嬢様? 流石に2人で10玉は多くねーか?」
「そうですか? 私、スイカは大好きなのできっと大丈夫です!!」
いやいや、自信満々に言い切るが問題はそこじゃねーよ?
スイカを10玉も食べれば絶対に腹を壊す。食べ切れる切れない以前の話だ。
あー、うん、隙を見て運動部に持っていくか。
お腹が痛いです
で、早速スイカを食べる事になったのだが、
「ちょっと待とうか、お嬢様? その手に持ったのは何かな?」
俺の指摘にきょとんとして可愛らしく小首を傾げる了華。
「木刀ですけど、何か?」
いや、何かじぇねーよ!? 幼馴染様!!
スイカを切るのに木刀とか意味が分からないんだが……って、まさか……。
「お、おう、お嬢様? もしや室内でスイカ割りをなさるおつもりじゃ……」
「流石です
そう言っていつの間にか全ての準備を終えていた了華はその場で回り始め、
「わぁ~、初ぇ! クラクラします!! スイカ! スイカは何処ですか?」
……止める間もなくスイカ割りを開始しやがった。
木刀を正眼に構えふらふらと周囲を彷徨う幼馴染様……ちょっと怖いんだが……。
まあ、始めたもんは仕方ねぇ、とりあえず真面目に誘導するか……。
「あー、右だ右。右向いて真っ直ぐだお嬢様」
「分かりました、
と言いながらお嬢様が向かって来るのは俺の方。
おい、俺は右って言ったよな!? なんで背後のこっちへ来る!?
「まて、お嬢様。こっちじゃねー! 左だ左! 左向いて真っ直ぐ!」
「今度は左ですか? あ! 分かりました
ちげーよ!? 変な勘繰りやめろよこの状況で!!
「スイカ割りはそれも醍醐味ですからね、流石です
そう言って此方へ真っ直ぐ向かって来る幼馴染様。
はぁ!? だからなんでこっちに来るんだよ!
クソッ! 絶対、スイカに向かわせてやるからな!
しかし、その後も指示を繰り返すが、どうしても俺を追跡し続けるお嬢様。
……アカン。このままじゃ俺の頭がスイカ割りだわ。
「
「おう、奇遇だな、お嬢様。俺もそろそろこれを終わらせたい」
「ですよね! だからそろそろ本当の事を教えて下さい、
俺は最初から嘘は一言も喋ってねーよ!
何か、何かないか打開策が……一瞬逃げようかとも思ったがそれは無しだ。
後の事を考えたら絶対そっちの方が面倒だからな……。
「
教室を彷徨い続ける了華を放置し、無言で考えを巡らせる。
お嬢様は指示を無視する、しかし俺の声には寄ってくる……これを利用して……。
ゲェ……すげー嫌な方法を思い付いちまった……けどそれしかねーか。
よし、男は度胸だ! きっといける!!
「お嬢様! スイカはこっちだぜ、こっち!!」
そう言って幼馴染様を呼ぶ俺は、今ブルーシートの上に胡坐をかいている。
頭の上にスイカを抱えてな!!
つまり、俺の声に寄って来るならこの方が手っ取り早い訳だ……クソがッ!
すると予想通りお嬢様は、
「む! 今度は本当な気がします! 行きますよ、
真っ直ぐに俺の方へ向かって来ると、何の躊躇いもなく木刀を振り下ろす。
次の瞬間、グシャッと叩き割られる頭上のスイカ……滴り落ちる赤い果汁。
「やりました!
確かな手応えを感じ、喜びながら目隠しを外す幼馴染さま。
そうか、そうか……そんなに嬉しいか……だがお陰で俺はスイカ塗れだがな!!
その後、俺の惨状に驚く了華をこってり説教してから二人でスイカを食べた。
おう、色々あったが甘くてすげー美味しかったぜ。
やっぱり夏はスイカだな、スイカ!
あ? 残り9玉? 普通に運動部へ配ったさ。
生徒会長からの差し入れだって言ったら、泣いて喜んでたねアイツ等。
【部活メモ】
7月27日
◎スイカの日
夏といえばスイカ! スイカは夏の果物の横綱だ!!
そういう訳で7(な)2(つ)7(な)=「夏の綱」の語呂合わせで出来た日。
今日ぐらいはスイカを食べて涼んでみるのも一興だろう。
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