7月22日は何の日ですか?
……朝、学校に登校したら上履きが下駄になっていた。
何を言ってるか分からないだろうが、俺も分からねぇーよ!
仕方なく下駄を履き、生徒会室へ行くと既に
「おはようございます、
そう笑顔で挨拶してくる幼馴染様の履物もやはり下駄だ。
おう、何だコレ……下駄って事は靴下とか履かない訳で……。
学生服は基本スカートな訳で……つまり何が言いたいかというと……。
生足最高だな、オイ! はっ!? 俺は何を!?
「
いやいやいや、俺は断じて足フェチではない! 断じて否である!
だから、幼馴染様よそんな純粋な目で俺を見るな。
少しでもそのおみ足に見惚れた俺が悪かったから!
「い、いや、何でもねーよ? てかやっぱりこの下駄はお嬢様の仕業か!」
焦りとか恥かしさとかで赤くなる顔を必死に誤魔化しながら、話題を振る。
「はい! 桐を使った最高級品ですよ!!」
「たかが部活にそんな高価なモン買ってくんなよ!?」
何を考えているのか、この幼馴染様は。
夏なら下駄なんてどこの店でも一組数千円程度で売ってるってのに。
でも、通りで初めて履いたにしては足に馴染むと思ったぜ……。
「で? 下駄って事は今日の記念日はアレだよな?」
「察しが良いですね
だよなぁ~。俺も調べたわ、一応。
うん、それじゃあ下駄も履いた事だし、
「よし……俺、帰るわ!」
「!? 何でですかぁぁぁ!?」
踵を返す俺の腕を慌てた様子で掴む了華。
何でって幼馴染様よ……。
「いや、下駄履いた時点でそれ以上やる事ねーだろ?」
そういう事だ。
もし今から下駄の歴史を学びましょうとか言ったら俺は幼馴染様を叩くね。
何が悲しくて、夏休みの貴重な時間を下駄雑学で潰さにゃいかんのか。
「い、今から下駄の歴史をですね――
ペチリッ。
殊の外いい音が響く幼馴染様のおでこ。
「い、痛いです
「蚊だ、蚊」
「嘘! 絶対嘘です!」
薄ら涙目で抗議してくるお嬢様。
……そんなに強く叩いた気はねーんだがな。
チッ。仕方ない、お詫びに少しだけ付き合ってやんよ。
あぁーあ、今日も一日無駄に潰れそうだ……嫌になるぜ全く。
「悪かった、悪かった。だがな、お嬢様よ歴史の勉強なんて面倒なのは却下だ」
「た、楽しいんですよ? この歴史を知ればきっと
なりたくねーよそんなもん!?
なんだ下駄マスターって。初めて聞いたわ!
しかし了華の表情は至って真面目だ……多分、色々準備したんだろうな。
……これだから下手に優秀なお嬢様は面倒臭い。
まぁ、だがそれはそれ、これはこれだ。夏休みに勉強なんてごめんだ!
幸い何時もの様に今日も記念日は複数あるしな!
「待て待て、お嬢様。今日はもう1つ面白い記念日があるだろう?」
「面白い? ですかぁ~?」
俺の言葉に疑わしげな目を向ける了華。
おう、そんなに俺に勉強させたいってか、お前は!?
「そうそう、今日はアレだ【ナッツの日】だ、だからナッツを食べよう!」
「…………それの何処が面白いんです?」
全く分からないと疑問顔のお嬢様。
そうだよな、分からんよなぁ。
というか、俺でも無理があると思うし……でも押し通す!!
「夏だぞ、お嬢様? 木陰で涼みながらナッツを食べて炭酸飲料を飲む!! 大人たちがやってるビールとナッツっぽくて面白いだろう?」
――些か無理があり過ぎるが果たしてお嬢様の判定や如何に――
「いいですね、
いいのかよ!! そして大人っぽいって嬉しがってるけどな、幼馴染様よ……。
コレ、単純にナッツをおやつに食べるだけだからな?
実際は全然大人っぽくないからな!? 提案しといてなんだけども!!
まぁ、突っ込まないけどな。勉強が回避できればそれでいいんだよ、俺は。
「じゃあ、
そう言うと了華は早く早く~と生徒会室の外へ駆けだしていく。
とりあえずコンビニでも行くか。流石にナッツは購買部には売ってないからな。
先を行くお嬢様を追って俺は廊下をゆっくり歩き出す。
カランコロン、カランコロン、と足元で下駄の愉快な音を響かせながら。
【部活メモ】
7月22日
◎下駄の日
かつて存在した全国木製はきもの業組合連合会が1991年に制定したらしい。
理由は下駄の寸法に7が多い事と、下駄の足跡が二二、22に見える事から。
因みに11月11日には伊豆の国市観光協会が制定した別の下駄の日がある。
此方は足跡が11、11に見えるからだそうな。
◎ナッツの日
日本ナッツ協会が1996年に制定したらしい。
7(ナ)2(ツ)2(ツ)=ナッツの語呂合わせである。
因みに協会にはホームページもあるのでナッツ好きの方は調べてみると良い。
ナッツのお料理レシピ等が幾つか掲載されていたりする。
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