第11話 暴走族/バンパイァ1


 男だけの暴走族〈バンパイァ〉だ。ここは元々は鹿沼の暴走族「人狼」のたまり場だった。宇都宮のバンパイアに吸収合併されていらい彼ら共通の隠れ家だ。いまだに「人狼」のジャンパーを着ているものがいる。

 倉庫のすみで立ちションする。だれもとがめない。汗とガソリンと尿のいりまじった臭いが強烈だ。それでもここは、頼りになる場所だ。ほかの族にはこのアジトは気づかれていない。この秘密基地はおれたちだけのものだ。いちばん安心していられる場所だ。飲み食いは、ヨーカ堂がすぐそこだ。金さえあればなんでもかえる。弁当も売っている。飲みものもなんでもある。

 それなのにこの渇きはどうしたことだ。飢餓感。高野はヒリヒリ乾く喉元に手をあてた。なにかがたりないという感じだ。族だからアウトローだ。ほかの若者とはちがう。普通ではない。クレイジィだ。ところが、ほかの族仲間ともどこかちがってきた。族のライダーたちも薄気味悪がっている。かわったのは、リーダーの高野だ。

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